背景にあるのは、将来的な乗客数の先細りだ。石塚氏はその危機感をこう語る。「人口が減っていく中で、交通を使う方は大きく言えば減っていくトレンドにある。鉄道もバスも設備を維持し、ダイヤを守っていくには、乗る人をどう増やすか、どういうマーケティングをすれば利用者に届くかを研究していかないと、公共交通を維持していくのは難しい」
石塚氏によると、クレカ乗車を導入した交通事業者からは、Vポイントとの連携で利用者の実態をもっと把握したいといった声が多く寄せられているという。データを使って試す施策の候補も挙がっている。
例えば、特定の路線やエリアを利用した人へのポイント還元や、沿線イベントに合わせたポイントアップ、継続して乗る人への特典、オフピーク時間帯への誘導といったものだ。狙いは、乗客に「今日はポイントが貯まるから、この路線で出かけよう」と思ってもらうことにある、と石塚氏は話す。
もっとも、この仕組みに期待を寄せるのは鉄道会社だけではない。カード会社とポイント会社にも、それぞれの狙いがある。クレカ乗車の月間利用件数は、2024年8月の約105万件から2026年8月には約1046万件へと、2年で約10倍に増えた。
クレカ乗車(stera transit)の月間利用件数は、2024年8月の約105万件から2026年8月には約1046万件と2年で約10倍に。2026年5月にはVisaの30%キャッシュバックで一時的に伸びた(出典:三井住友カード。全国の導入事業者・全ブランドの合計、乗車・降車で1カウント)システムやインフラづくりに約5年を費やしてきた三井住友カードにとって、次の課題は実際に使ってもらうことだ。石塚氏も「ここからは利用を」と話す。一方のVポイントマーケティングにとっては、「お出かけの先だけでなく、そこへ向かう移動でも貯まる」(杉浦氏)という新しい接点が加わることになる。
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