開発と研究は2本柱で進める。まずはモデル開発を進め、約2年後にはフィジカルAIやワールドモデルに役立つモデルを出していく。一方、3〜5年後を見据えた先端研究は産業技術総合研究所と共に進め、その成果を開発にフィードバックする。
フィジカルAIやワールドモデルの開発競争では、勝ち抜けている企業はまだいない。丹波社長は「今から日本でやっても十分に1位を取れるエリアだ」と述べ、製造業をはじめとするAIの適用現場と、ものづくりの知見が日本の武器になるとした。
もっとも、モデルだけを国産にしても十分ではない。自分たちで管理できない場所にモデルを置けば、データを抜き取られかねないからだ。
そこで、データの置き場所で主導権を握れる「データ主権」、他者に干渉されないための「運用主権」、セキュリティなど重要な要素を外部に依存しない「技術主権」を確保したクラウド「ソブリンクラウド」(主権クラウド)に、国産モデルを載せる考えだ。
企業にとって、個人情報や機密情報など外に出せない情報を扱う際に、ソブリンクラウド上の国産モデルが役に立つ。一方で、高性能な海外のモデルを全く使わないわけにはいかない。丹波社長は、扱う情報のレベルに応じて海外モデルと国内で管理されたモデルを使い分け、1つのエージェントの仕組みの中で組み合わせることを提案する。
Noetraは、ソフトバンク、NEC、Preferred Networksなどと共に母艦モデルを構築し、国内のSIer(システムインテグレーター)や大企業に公開する予定だ。ユーザー企業は、ソブリンクラウド上で蒸留したモデルを自社の業務に使う。
海外のモデルに頼る限り、データの主導権も、競争の順位も他者に委ねることになる。その構図を変えるため、Noetraは各社が使う土台作りから着手した。丹波社長は、ベースとなるフィジカルAIを作る段階から共に取り組もうと、産業界に呼び掛けた。
生成AIの本番活用では、「どのモデルを使うか」だけでなく、「どこで動かすか」「どう組み合わせるか」も重要だ。クラウドAPI、AI PC/ワークステーション、オンプレミス——最適解は1つではなく、データ、コスト、性能、レイテンシ、ガバナンス、運用力によって変わる。
本特集は、「ローカルLLM」や「国産AI」を入口に、企業が生成AIの実行場所をどう選び、どこまで自社で持つべきか をITmediaのtoBメディア横断で整理する。手元で試す段階から、部門での実装・運用、企業AI基盤の選定、経営としての投資判断までを解きほぐす。
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