なぜ都市型スーパー「ライフ」が北陸の地場スーパーを買ったのか? 15兆円市場を揺るがす「脱・レールサイド」の動き:小売・流通アナリストの視点(3/6 ページ)

» 2026年10月01日 08時00分 公開
[中井彰人,ITmedia]

スーパーだけ、寡占が進まなかったワケ

 日本のチェーンストアの歴史は60年以上となり、上位寡占化が進んできた。

 前述のコンビニ上位3社の寡占度は95%、ドラッグストア上位7社の寡占度は約8割、ホームセンター上位8社の寡占度は7割弱というのが、現在の小売業界の現状だ。しかし、スーパーだけは状況が異なる。各地で地場スーパーが強い競争力を維持している。圧倒的大手であるイオンのスーパー事業が7.2兆円規模とはいえ、約50兆円規模とされる食品流通業界の15%にも満たない。スーパー業界だけは、寡占化がまだ進んでいないのである。

最大手のイオン(出典:イオンの公式Webサイト)

 その理由の一つが、スーパーでは生鮮食品や総菜の小分け、加工、パック詰めなどを、各店舗のバックヤードで行う「インストア加工」が一般的だったことだ。店舗ごとに人員や設備を抱えて商品を加工するため、店舗数が増えても、生産や物流を1カ所に集約してコストを大幅に下げることが難しい。つまり、チェーンの規模が大きくなっても、その大きさを十分な効率化につなげにくかったのである。

 こうした一見非効率な仕組みが定着した背景には、魚食や生食を好む日本の消費者が、鮮度に敏感だったことがある。

 この日本型スーパーの構造は、いわばゴルフのハンデ戦のようなものである。ゴルフでは実力差を埋めるためにハンデを設けるが、スーパーではインストア加工が、大手の規模の優位を弱める“ハンデ”として働いてきた。店舗ごとに加工や人員配置が必要になるため、チェーンを大きくしても効率化には限界がある。その結果、地場の中小スーパーでも大手と競争しやすく、両者が共存できたのである。

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