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「今のAIは100年前の飛行船」 元DeepMind研究者が脳から挑む“1500億円超”の賭け(2/3 ページ)

» 2026年11月03日 07時00分 公開
[湯川鶴章、エクサウィザーズ AI新聞編集長]
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それでも「巨大飛行船」作りは合理的

 それでもジョージ氏は、飛行船づくりを頭ごなしに否定しない。番組ホストで、Vicariousを共同創業したスコット・フェニックス(Scott Phoenix)氏(現・米ベンチャーキャピタルFifty Yearsパートナー)は、もともと脳研究からAIに入ったハサビス氏が、すっかり脳と無縁の路線に転じたのかと問うた。ジョージ氏の答えは「違う」。自分が当時のハサビス氏の立場でも、同じことを言うという。

 その上でハサビス氏の考えをこう代弁してみせた。ライト兄弟が誰なのかに目を光らせ、彼らが飛行機にたどり着いたら買収する。それまでは、できるだけ大きな飛行船を作る――。

 5000億ドルを脳の解明に効率よく投じる方法はない。巨額の資金は最大級のデータセンターと大型モデルの開発に向けるのが当然で、確実に成果の出る道がある以上、そうすべきだと同氏は言う。その一部を脳の解明に回すのが、今の時点での合理的な戦略だという。

 業界トップの立ち位置について、米Anthropicのダリオ・アモデイ(Dario Amodei)CEOと米OpenAIのサム・アルトマン(Sam Altman)CEOは、現在のスケーリング(巨大化)の延長線上に真の知能があると信じていると同氏は見る。意外だったのは、OpenAI共同創業者で米Safe Superintelligence(SSI)を率いるイリヤ・サツケヴァー(Ilya Sutskever)氏が、ポッドキャストで「少ないデータで学ぶ力の不足」を解くべき課題に挙げたことだという。

 一方、LLM(大規模言語モデル)を「AGIへの脇道」と呼ぶ米MetaのチーフAIサイエンティスト、ヤン・ルカン(Yann LeCun)氏の言い方には異を唱える。脳の解明に取り組むときでさえ、LLMは最良の道具をもたらしてくれたからだ。

 以前は、考えを形にするには他人に動いてもらうしかなく、生煮えのアイデアほど伝わりにくかった。今はコーディングエージェントのおかげで、試作がはるかに簡単になった。飛行機づくりが、飛行船側の道具で速まっているのだ。ただし、根本的に新しい発想が必要だという点では、ルカン氏に同意している。

 自身の読み違いも率直に認める。LLMがプログラミング(コーディング)においてこれほどの力を持つとは、当初思わなかったという。

© エクサウィザーズ AI新聞

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