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ヤマハ発動機・日高祥博社長に聞く「EVの先行き」 エンジンはなくならないヤマハ発動機の展望【後編】(3/6 ページ)

コロナ禍を追い風にして好業績を上げているヤマハ発動機。「電動アシスト自転車は欧州などからの注文が急増して生産が追い付かない状態」という日高祥博社長に、同社が得意とするパーソナルモビリティの展望やEV(電気自動車)の先行きなどを聞いた。

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1人乗りの新しい移動手段

――ヤマハ発動機は小型モビリティが得意なようですが、今後の展開は。

 小型というよりも、1人で移動する領域のパーソナルモビリティに注力しています。ヤマハ発動機は2輪よりも転倒リスクを低減するフロント2輪の3輪車「トリシティ」を出しています。

 今後は転ばない、3輪を制御する技術を生かして1人か2人乗りのコンパクトで二酸化炭素を出さない領域の車にも力を入れるべく、いろいろな価値創造にチャレンジしています。

 また、電動アシスト自転車と、2輪車の間に、2輪よりもっとライトで1人乗りで楽しめるモビリティもあるのではと考えています。パーソナルモビリティがキーワードです。


「転ばないバイク」として市販しているLMW(Leaning Multi Wheel)

――カーボンニュートラルを達成できる自信はありますか。

 カーボンニュートラルの目標は自信があるなしに関係なく、やらなければなりません。やるためにどうすればいいかを考えています。まだ30年もあるので、世界のモビリティメーカーが血眼になって技術開発をすればイノベーションも起きるでしょう。カーボンニュートラル燃料や水素燃料など、いろんな可能性はあるので、人類はこの問題を必ず克服できると思います。

――低速で自動運転で走る「ロースピードモビリティ」が注目されていますが、その用途はどんなところにありますか。

 省人化に向け、低速の自動運転車の開発を目指しています。過疎地の中山間地など、民間のバス輸送ができなくなったところで走らせたいと考えています。運転手の人件費が高いためバス運行ができない地域があります。そこで村落と役場、スーパー、病院を低速で循環させ、中山間地の高齢者に喜んでもらいたいと考えています。

 日本の公道は規制が多くあり、子どもが遊んでいたりすると危ないですから、自動運転車を走らせるのは簡単ではありません。そこで、まずは道路交通法の適用されない製造工場内の道を走らせてデータを蓄積し、知見を高めてから公道で走らせたいと考えています。


現在では世界有数のエンジンメーカーとして知られるヤマハ発動機だが、もともとはプロペラの製造から始まった

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