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正念場迎える「楽天モバイル」 財務戦略に潜む苦難の実情過去最大3700億円の赤字(3/5 ページ)

2022年度決算で、楽天グループ(以下楽天)は最終損益で4期連続かつ過去最大となる3728億円の赤字を計上。財務状況を分析した。

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ウクライナ戦争、金融不安...... 不安要素多く

 しかしながら、ウクライナ情勢や主要国の景気減速などを受けて市況が低調に転じたのは、楽天が運にも見放されつつあるように思えてなりません。

 株式市況の回復を待って22年にいったん延期した楽天銀行の上場は、23年に入って手続きを進めたものの、今度は米シリコンバレー銀の破綻やスイス政府主導でのUBSによるクレディスイス買収などによる市況への追い打ちがあり、まさに「泣きっ面に蜂」状態。楽天証券の上場も果たして23年中にできるのか、不安要素の方が強いように思います。資金繰りに窮して持株売却を急ぐなら、想定している調達金額が未達に終わるという事態も十分考えられます。

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米シリコンバレー銀本店(提供:ゲッティイメージズ)
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クレディスイス(提供:ゲッティイメージズ)

 加えて申し上げれば、楽天銀行および楽天証券は十分に利益が出ているわけであり、この持ち株を一部とはいえ売却することは、将来収益を実現前に手放して、目先の現金を手に入れることでもあります。

 そこに持ってきて先を急いで安い株価での持株売却ともなれば、株主から株主利益を棄損する行為としての訴訟リスクも考えなくてはいけなくなるわけで、現状の市況からは楽天証券の上場は一筋縄ではいかないようにも思うのです。

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