低価格なガンクリップで唯一の防水ビデオカメラというわけで、Xacti DMX-CA9には改善してほしいポイントがいろいろとあったりする。そのなかで、強く感じるのがバッテリー駆動時間の短さと、右親指で操作しなければならないスイッチ群だ。特に、決定ボタンと、その外側に設置された「ロの字」一体型カーソルボタンと、そのすぐ上に2分割して配置されたスチル撮影シャッターと動画撮影ボタンの距離が微妙に短く、撮影中に本体をぐらつかせることなくズームボタンを操作することも、動画撮影中に静止画を撮影することも難しい。
この夏に登場したXacti DMX-CA100では、この右親指操作ボタンのレイアウトが大幅に変更された。扱いにくかったロの字型一体カーソルボタンと中央にあった決定ボタンはなくなり、縦に3分割されたボタン群になり、左は静止画のシャッター、右は動画撮影ボタン、そして、中央は上下におすズームボタンとなった。このズームボタンの変更は絶大で、動画撮影中に本体をぐらつかせることなく、ズーミングができる。ただ、ガングリップの限界なのか筆者の握力が衰えてきたのか、静止画撮影のシャッターを押すときに本体が多少ぐらつくのは、DMX-CA9と変わらない。
DMX-CA100の本体は、レンズ収容部分の太さがDMX-CA9と変わらず、かつ、前後に長くなったが、その下のボディは絞り込まれて薄くなっている。ただ、本体をホールドする手は、この細くなった部分だけでなく、レンズ収容部分まで覆うので、本体を持つときの手の形は、DMX-CA9でもDMX-CA100でもさほど変わらない。DMX-CA9と違い、手のひらと本体の間に空間ができるので、それを不安に感じるユーザーもいるかもしれないが、この空間のおかげで長時間の動画撮影時、本体に帯びる熱を感じなくて済んでいる。
操作系の変化でDMX-CA9ユーザーが戸惑うのは、MENUボタンの変更だ。DMX-CA9では静止画シャッターボタンの左脇にあって、右手で持つ場合は比較的押しやすい場所にあったが、DMX-CA100では本体の左側面、液晶モニタを開いてアクセスできる場所に移動した。ここには、MENUボタンのほかに、DMX-CA9でもここにあったREC/PLAYボタンと電源ボタン、そしてDMX-CA9での「中央の決定ボタンとその回りを囲む“ロ”の字ボタン」が、上下左右に独立したシートスイッチの十字カーソルキーとなって配置されている。
DMX-CA9の「ロの字ボタン」カーソルキーでは上下方向をズームイン/ズームアウトで使っており、ユーザーが機能をカスタマイズできるショートカットキーとしては左右方向の2ボタンしか使えなかったが、DMX-CA100では上下左右に独立した4つのボタンに機能を割り当てられる。ただ、DMX-CA9と同様にすべての機能がショートカットキーに割り当てられるわけでなく、例えば、室内と屋外で変更したい機会の多い液晶モニタの輝度設定は、ショートカットキーに設定できない。
このようなボタン類のレイアウト変更は、DMX-CA9ユーザーから買い換えたいユーザーには評価が分かれるところだろう。常に「片手は自分のために」使いたい船の利用を想定した“超私的”な視点では、カメラの操作を片手で完結したい(それがガングリップが好まれる理由の1つでもある)が、DMX-CA100のMENUボタンは片手で操作できない場所にあるため、撮影中に使える機能はある程度制限されることを前提として運用を工夫することになる。
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