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カスタマイズ性とサイズ感の両立――キヤノン「PowerShot S95」(3/5 ページ)

» 2010年11月01日 11時05分 公開
[小山安博,ITmedia]
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操作性を向上させるカスタマイズ機能

 撮影設定だけでなく、使い勝手を向上させるカスタマイズ機能も豊富だ。まず、本体上部の「RING FUNC.」ボタンを押すと、レンズ周辺のコントローラーリングで設定できる機能の割り当てを変更できる。

photo RING FUNC.ボタンを押して設定できる項目

 コントローラーリングに割り当てられる機能は、ISO感度、露出補正、マニュアルフォーカス、ステップズームなどで、たとえばMモード時には絞り値変更を割り当てるなどの設定ができる。

 前述の通り、撮影設定などでも、コントローラーホイールとコントローラーリングでそれぞれ設定できる機能が違うなど、その場その場で使える機能が異なるが、画面に現在利用できる機能が表示されるので分かりやすい。

 本体背面にはショートカットキーも搭載。1つだけ機能を割り当てることが可能で、i-コントラストやISO感度、ホワイトバランス、RAW+JPEG、AIサーボなど、各種設定をダイレクトに呼び出せる。

photophotophoto ショートカットキーには多彩な設定を割り当てられる(写真=左)、コントローラーリングの割り当てをカスタマイズでISO感度に設定した状態でPモードと動画モードでは、それぞれ割り当てが自動的に切り替わる(写真=中、右)

 この2つのカスタマイズによって、必要な機能を簡単に呼び出すことができ、撮影がより簡単になる。コントローラーリングのように、状況に応じて機能が変わる方式はカメラをある程度知らないと操作時に混乱しがちだが、画面表示も親切なので、初心者でもすぐに使いこなせるはずだ。

photo マイメニューは自分で好きなメニュー項目を取り出して、素早くアクセスできるようになる

 同社製品ではおなじみのマイメニュー機能も搭載。タブで区切られたメニュー画面の1画面に、自分の好きな設定を集めることができるため、よく使うのに階層の奥深くや画面の下の方にあるような設定を集めて、より使いやすいメニュー画面をカスタマイズできる。

HS SYSTEMによる高感度画質

 レンズは35ミリ換算28〜105ミリの光学4倍ズームレンズで、F値はF2.0〜4.9。ワイド端の開放F値がF2.0と明るいのがポイントで、暗いシーンでもより早いシャッタースピードを選択できる、ボケが大きく得やすいといったメリットがある。

photo 28ミリからの光学4倍ズームレンズを搭載

 通常のレンズ内手ブレ補正に加えて、本体内部に加速度センサーを備したことでカメラが被写体に対して水平に移動した際に発生する「シフトブレ」に対処できる。ほかのカメラと比べた効果は少し分かりづらいが、十分な効果はありそうだ。

 撮像素子は1/1.7型有効1000万画素CCDで、最近のコンパクトデジカメの中では画素数が抑えられている上に大きめのセンサーであるため、特に高感度画質に期待が持てる。同社ではこのような高感度センサーと映像エンジン「DiGiC」の組み合わせを「HS SYSTEM」と呼んでおり、オート撮影時でもISO感度は1600まで増感する。

 実際に撮影してみると、ISO400まではまずまずの画質で、ISO800になるとディテールが怪しくなり、ISO1600だとさらにノイズも増えるが、それでもコンパクトデジカメのISO1600としてはレベルが高い。ISO3200になると一気に画質が低下し、非常用といった印象になる。

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photophoto ISO感度別の作例。上段左からISO80/100/200/400/800/1600/3200。最後はローライトモードで撮影した画像。ローライトモードでの撮影はISO320となっており、確かにISO200やISO400と比べてもノイズは減っている

 モードダイヤルには、シーンモードから独立した「ローライト」モードが用意されている。ISO感度が最高ISO12800という高感度まで増感するので、かなり光量の少ないシーンでも手ブレ、被写体ブレを抑えた撮影ができる。ローライトの場合、記録画素数が250万画素に限定されるかわりに、高感度のノイズが低減する。とはいえ、ISO12800での撮影はかなり無理のある画質にはなるが、それでもWebサイトに掲載するレベルであればISO6400ぐらいまでは使える印象だった。

photophoto 通常撮影のISO800と、ローライトモードでのISO1600。ISO1600でもかなり低ノイズ

 動画について専用ボタンはなく、モードダイヤルを動画モードに合わせる必要があるが最大で1280×720ピクセルのハイビジョン動画を撮影できる。レンズ下に2つのマイクを搭載し、ステレオ録音も可能。本体側面にはHDMI端子も備え、HDMI CEC対応テレビであれば、テレビのリモコンでカメラの再生、停止といった操作が可能だ。

photophoto 動画撮影モードの状態で「ファンクション」キーを押したところ。通常の動画に加え、ジオラマ風動画も撮影できる。側面にはHDMI端子を搭載する

 PowerShot S95は、機能の豊富さとカスタマイズ性を手のひらサイズのボディに集約している。同じくハイエンドモデルである「PowerShot G12」(レビュー)に比べると、拡張性や機能が省かれている部分はあるが、機動性とカスタマイズ性の両立を重視したいユーザーにはおすすめしたいモデルとなっている。

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