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「α55」第1回――まずはやっぱり高速連写でしょう長期試用リポート

» 2010年11月15日 10時54分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
photo 「α55」

 デジカメにおいてコンパクトではなく、いわゆる一眼を使うメリットはなんだろうと考えると、「オートフォーカスの快適さ」がその1つに含まれることは異論ないところだろう。製品ごとに多少の差異はあるものの、一般的に一眼タイプの製品の方が高速にかつ正確なオートフォーカスを期待できる。

 ソニー「α55」は実売10万円以下ながら、半透過ミラーを利用した「トランスルーセントミラーテクノロジー」によって、AF追従駆動時にも最大10コマ/秒という高速連写を可能とした製品だ。トランスルーセントミラーテクノロジーの詳細や製品の詳細レビューは以下を参照してもうことにして、最大10コマ/秒というプロ向け機にも匹敵する高速連写性能でどのような瞬間を切り取れるか、試してみよう。

 α55で高速連写を使うにはモードダイヤルを「連続撮影優先AE」に設定する。オートフォーカスは1枚目の画像でピントを固定するシングルAF(AF-S)と、被写体追尾を行うコンティニュアスAF(AF-C)をメニューから選択できる。イージーなのはAF-Cの利用で、ピントと露出を自動的にあわせ続けてくれるので、シャッターを押すだけで快適な、というか快感に近い撮影感覚を味わえる。

photophotophoto 高速連写を使うにはモードダイヤルを「連続撮影優先AE」に設定、AFはシングルとコンティニュアスが選択できる
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photophotophotophoto モードダイヤル「連続撮影優先AE」、オートフォーカス「コンティニュアスAF」の設定による連写

 このAF-Cの撮影ではAFは常時有効となるものの、ISO感度と絞り値の設定は行えずほぼフルオートでの撮影となる。シャッターチャンスだけに気をつければいいという意味では、「公園で遊ぶ子どもの表情変化をとらえたい」といった場合には役に立つ(小さな子どもの動きを予測するなんて不可能だ!)といえる。

 ISO感度もオート撮影に比べて高感度に設定されるようなので(晴れた屋外でも、日陰や被写体の動きが細かい/早いときにはISO1600に設定されることすらある)、試用した限りでは、ISO感度が足らずにシャッタースピードを稼げず、結果的に被写体ブレという事態に陥ってしまうことはなかった。

photophotophoto カメラを三脚に固定して、「オート」「オートプラス」「連続撮影優先AE」でそれぞれ撮影。「オート」「オートプラス」は1/100秒 ISO500だが、連続撮影優先AEは1/320秒 ISO1600となった

 AF-Sでの撮影だとピント合わせは最初の1枚で固定されてしまうが、ISO感度も絞りも任意の値に設定できる。ただ、AF-Cと違ってAFは追尾しないので、本製品の目玉である「AF追従駆動時にも最大10コマ/秒連写」は実現されない。AF-SではISO感度を12800まで設定できるので、AF-Cではシャッタースピードが稼げないという場合に使うといいだろう。

 とにかく連写性能を生かしたいというならば、追加の設定として、右肩のAEロック(「AEL」ボタン)を使って露出をロックしてしまうという方法もある。AEロックをしてしまえば再設定するまで絞りとシャッタースピードは固定されるため、これで露出を固定し、加えてAF-SでISO感度と絞りを設定すれば、ほぼ思い通りの設定で最大10コマ/秒の連写を利用できる。「気軽に連写」とはちょっと離れた使い方になってしまうが、こうした使い方があることも頭に片隅に入れておくといいだろう。

 また、最大10コマ/秒ほどの連写速度は必要ないと判断できれば、撮影モードをプログラムAE/シャッター優先AE/絞り優先AE/マニュアル露出のいずれかにあわせ、ドライブモードを「Hi(秒間6コマ)」または「Lo(秒間3コマ)」にするという方法もある。連写速度は低下するが完全に任意の設定を施せるので、被写体によって使い分けたい。

 あと気になるのが、連写をどれだけ継続可能か(何枚まで連続で撮影できるか)。カタログでは「連続撮影(Hi)」時の撮影可能枚数として、JPEG L/ファインで35枚、JPEG L/スタンダードで39枚、RAW+JPEGで20枚となっている。カタログにも注意書きがあるよう、利用するメモリカードや撮影対象によって最大枚数は異なるが、サンディスクのSDHCメモリーカード「Extreme III」をセットし、JPEG L/ファインで静止した物体を対象に連続撮影優先AE/AF-Cで撮影したところ、30枚前後を撮影したところで連写ペースが急激に落ち込むことが確認できた。

 30枚前後をすぎても連写自体は途切れないが、撮影コマ数が急激に低回するので、最大10コマ/秒の速度を保てるのは30枚前後(約3秒間)と認識しておくのが良さそうだ。加えて、フルに連写した後にはメモリカードへの書き込みへも10秒弱(本条件下での実測値)の時間がかかり、その間は次の撮影に移れない。最大10コマ/秒の連写は快適だが、その後の記録時間についても頭の片隅に入れて置くことで、よりシャッターチャンスを逃さない撮影が行えると言えそうだ。

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