デジカメ、ケータイ、スマートフォンと、写真も動画も撮影できる機器がどんどん身近になっている。しかしそれらで撮影した動画は、その場で楽しんだらあとは消してしまうものになってはいないだろうか。例えば子どもの成長を撮っておこうとした時、ケータイ動画しかなかったら、おそらく10年後にはもう見つからないか、見てもガッカリするだろう。
それだったらちゃんと記録できるビデオカメラがいいんじゃないか。そう考える人は少なくない。以前は幼稚園や小学校の入学、あるいは運動会を機にビデオカメラを買う人が多かったが、今はもっと早くなり、子どもが生まれる前や赤ちゃんの時期に買う人が多いようだ。
子供が生まれなければ、おそらくビデオカメラなど買うことはなかったという人もいるだろう。デジカメとは似て非なる文化圏を持つビデオカメラを、なんだかよくわからないという目で眺めていたはずだ。
そこで今回は、生後まもなくから幼児ぐらいを撮影するときに最適な条件とは何かを考えながら、ビデオカメラ選びに必要なキーワードを解説していく。どうせ一番高いのが一番いいって言うんでしょ? と思ったら大間違い。リーズナブルなエントリーモデルでも後々後悔しない、ポイントを絞った選択がきっとあるはずだ。ではさっそく始めていこう。
なにも本当にカメラを分解してしまうわけではない。ビデオカメラ選びの要素として、どのようなパートに分けられるかの話である。まずはビデオカメラ選びのポイントとなるパーツを分けてみよう。
ビデオカメラもカメラの一種であるからには、レンズの性能はもっとも重要なポイントだ。レンズ次第で撮影できる絵柄も変わってくる。
焦点距離
スペック表に書かれている中で、一番重要だがわかりにくいのが、焦点距離だろう。焦点距離の実際の数値は、センサーとレンズの距離を表わすのだが、実用面ではどれぐらいの範囲が写るのかを示す基準として使われる。
ビデオカメラはズームレンズが基本なので、一番ワイドで撮影した時にどれぐらいまで写るのか、そこから何倍までズームできるのか、ということがこの焦点距離の数字で分かる。この数字が小さいほど、広い範囲が写ることになる。
ただ実際の焦点距離は、撮像素子のサイズによってまちまちになってしまうので、ほかのモデルと比較する基準にならない。そこで、「昔の35ミリフィルムで撮ったとしたらどうなるか」という値に変換した、「35ミリ換算値」も一緒に表示するのがお約束となっている。
小さい子どもを撮る場合に、どれぐらいの焦点距離がベストなのだろうか。赤ちゃんや幼児の場合は、親から遠く離れて遊ぶということはほとんどない。親から離れてひとりで公園などで遊べるようになるのは、せいぜい小学校に入ってからである。
そうなると撮影したい被写体は、常にあなたのすぐ近くにいることになる。この距離で全身を入れるとなると、なるべく広い範囲が撮影できる、すなわち焦点距離の数字が小さいレンズが必要だということが分かる。例えばスペックシートに35ミリ換算で「f=30.0-450mm」と書いてあったら、数字の小さい「30.0mm」がズームを一番広角にしたときの焦点距離、「450mm」が一番望遠にしたときの焦点距離だ。ズーム倍率は450/30=15なので、15倍であることが分かる。
昨今はワイドレンズがトレンドで、各社ともに35ミリ換算で30ミリ前後のレンズを揃えているが、それぐらいあれば十分だ。数ミリ程度の違いは気にする必要はない。低価格モデルでは40ミリ台のものもあるので、この点を注意しよう。
F値
もともとは絞りの値を示す数値だが、絞り解放時の値が、レンズの明るさを示す。小文字のfだと焦点距離を表わすので、大文字のFであることに注意していただきたい。この数字が小さい方が、より明るいレンズということになる。
レンズのような透明なものに明るい暗いがあるのかと不思議に思われるかもしれないが、効率よく光を通す設計かどうかがこれで分かる。F値は「F=1.8-4.0」のように書いてあるが、これも焦点距離と同じで、数字が小さい1.8が広角側の数値、大きい方が望遠側の数値となる。望遠側が暗くなるのは普通の現象なので、それほど気にする必要はない。注目するのは広角側の数字だ。
ビデオカメラのF値は、ズームレンズが標準なので、おおむね1.8程度だ。さすがに2.0より暗いと、室内撮影の時に理想的な画質で撮影できないこともある。また広角側と望遠側の数字の差が小さいほど、レンズ設計が上手いと考えて差し支えないだろう。
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