CP+も盛況の内に終了し、各社のコンパクトデジカメ春モデルがほぼ出そろった。とは言っても実際に市場へ投入され、店頭で確認できるようになるのは2月下旬から3月上旬にかけてであり、もうしばらくの時間がある。卒入学などのイベントや春休みを利用した旅行を直前に慌てて購入することのないよう、まずは2011年春モデルの傾向について理解しておこう。
従来型の撮像素子(イメージセンサー)は受光面が回路の下に位置しているが、裏面照射型センサーは受光面が上面に配置されているため、受光面積が広く、感度を高くでき、またノイズも低減できるというメリットがある。コンパクトデジカメにおいて裏面照射型センサー搭載の先駆者となったのはソニーの「サイバーショット」シリーズ。センサーに「Exmor R」と命名し、2009年夏発表の「DSC-TX1」「DSC-WX1」から搭載が行われ、今春モデルではシリーズの半数が搭載するに至っている。
ボディサイズという制約から大型センサーを搭載できないコンパクトデジカメは、どうしても光量の足りない夜間や室内での画質に難があった。高感度撮影時の低ノイズを可能とする裏面照射型センサーは各社が採用するに至り、今春の新製品ではローエンドラインを除くとかなりの数の製品が裏面照射型センサーを搭載してきた。
裏面照射型センサーのメリットは高感度撮影時の画質だけではない。構造上、読み出し速度でCCDセンサーに勝るCMOSセンサーで裏面照射という形式を採用することで、「高速連写と画像合成」という新しい領域を切り開いている。既に2010年春モデルでも多くの製品がこの手法を採用しており、それは2011年春モデルにも踏襲されている。
「高速連写と画像合成」の用途はさまざまで、夜景撮影時のノイズ低減や被写体/手ブレの低減を始め、パノラマ撮影、露出の異なる写真を連写して合成することでダイナミックレンジを拡大するHDRなどさまざまだ(関連記事→・この春は「裏面照射」が面白い! 搭載5製品を一気に試す 前編 ・この春は「裏面照射」が面白い! 搭載5製品を一気に試す 後編)。
ただし、撮影する状況のほか、組み合わせるレンズや画像処理エンジンなど、複数の要素が関連するため、一概に裏面照射型CMOSセンサーを搭載しているから高画質/高機能とは言えないが難しいところだが、夜間や室内での撮影が多くなりそうだと予想できるならば、裏面照射型CMOSセンサー搭載機かどうかは気にしておいた方がいいポイントだろう。
ひところは3倍ズーム、あるいは5倍ズームが標準的だったコンパクトデジカメだが、10倍ズームを越える製品が珍しくなくなったのも今春の特徴だろう。
カシオ計算機「EX-ZR100」は24.5〜300ミリ相当の12.5倍ズーム、リコー「CX5」は28〜300ミリ相当の10.7倍ズーム、ソニー「DSC-HX9V」は24〜384ミリ相当の16倍ズーム、富士フイルム「FinePix F550EXR」は24〜360ミリ相当の15倍ズーム、パナソニック「DMC-TZ20」は24〜384ミリ相当の16倍ズームレンズ、ニコン「COOLPIX S9100」は25〜450ミリ相当の18倍ズームレンズ、オリンパス「SZ-10」は28〜504ミリ相当の18倍ズームレンズを搭載している。
上記のモデルでは高倍率ズームレンズの搭載もあってコンパクトと呼ぶには厚めのボディとなっている製品も散見されるが、キヤノン「IXY 410F」のように5倍ズームレンズ(24〜102ミリ相当)を搭載しながら厚さを19.5ミリに抑え「世界最薄」(同社)を実現したモデルも登場している。薄さを含めた携帯性を重視するか、あるいはズーム倍率を重視するか、選択肢の幅は非常に広いといえる。
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