ソニーのミラーレスカメラ「NEX-5」は、APS-CサイズのCMOSセンサーをコンパクトなボディに搭載し、さらにフルHDの動画も簡単に撮影できるので、個人的にも、プライベートはもちろん、仕事でも使う機会が多い機材です。
仕事柄、取材先での新商品の撮影などを行う機会があるのですが、NEX-5の標準ズームレンズ「E18-55mm F3.5-5.6 OSS」は最短撮影距離が25センチで、詳細なパーツのディテールの撮影には「寄り」がもう一歩足りないように感じていました。
正確に言えばいわゆる「マクロレンズ」とは、被写体まで近付けて撮影できるレンズではなく、被写体を大きく写せる(カタログに記載されている「撮影倍率」が大きい)レンズを指します。この撮影倍率が1倍ならば、被写体と同じ大きさの像を撮像素子上に映し出すことができます。
将来的には登場するとは思いますが、現在のところソニー純正のEマウントレンズでは撮影倍率の大きなマクロレンズはありません(E18-55mm F3.5-5.6 OSSで0.3倍、E 18-200mm F3.5-6.3 OSSで0.35倍、E 16mm F2.8で0.0078倍)。
マウントアダプターを利用してNEX-5に他社製のマクロレンズを装着するという手もありますが、より手軽な方法として、以前から所有しているクローズアップレンズ「クローズアップレンズAC No.5」(実売価格2000円前後)をE18-55mm F3.5-5.6 OSSに装着して撮影してみたらどうだろう?と思い実践してみたところ、被写体にグッと寄って撮影出来るようになり、もう一歩寄りが足りないと思っていた弱点が克服できたのです。
ちなみに、E18-55mm F3.5-5.6 OSSのフィルター径は49ミリですが、所有しているクローズアップレンズは52ミリ径なので、そのままでは装着する事はできません。そこで、取付フィルター径の大きいコンバージョンレンズやフィルターを装着するための、ステップアップリングと呼ばれるアダプターを使用しました。
ステップアップリングにはさまざまな種類があり、「49→55mm」などカメラ(レンズ)側の径と取り付けるコンバージョンレンズ(フィルター)の径にあわせた多くの製品が販売されています。
クローズアップレンズには、使用するレンズのフィルター径ごとに用意されていますが、そのほかにピントが合う位置ごとに種類があります。ここが重要なポイントで、例えば約33センチ〜1メートルの範囲でピントがあるもの、約17〜25センチの範囲でピントがあうもの、約8〜10センチの範囲でピントがあうものなどさまざまです。
E18-55mm F3.5-5.6 OSSの最短撮影距離は25センチなので、さらに被写体に接近して、対象を大きく写しての撮影を目的とするならば、それよりも手前の位置でピントが合うクローズアップレンズが必要となります。クローズアップレンズは、複数枚重ねて使用するとさらに接近して撮影することができます。ただし、複数枚使用すると光学性能は悪くなっていくので、注意が必要です。
筆者が所有している52mmのケンコー製クローズアップレンズAC No.3、AC NO.5を使用して、どれだけ被写体を大きく写せるかをテストしてみました。
まずは、フィルターなしの状態で、E18-55mm F3.5-5.6 OSSの最短撮影距離で撮影した写真がこちら。
クローズアップレンズ AC No.3を装着して、最短撮影距離まで寄って撮影した写真がこちら。
クローズアップレンズ AC No.5を装着して、最短撮影距離まで寄って撮影した写真がこちら。
さらに、クローズアップレンズAC NO.5とAC No.3を重ね付けして撮影した写真がこちら。
最短撮影距離などのバランスからE18-55mm F3.5-5.6 OSSには、ケンコーのAC No.5がおすすめといえそう。クローズアップレンズを使うとピントの合う位置が狭くなるため単焦点レンズでは不便な時もありますが、幸いE18-55mm F3.5-5.6 OSSはズームレンズですので、被写体の大きさをズームで調整できるところにメリットがあります。
上の写真ではフィルター枠が分厚いため広角側でケラレが発生していますが、ケラレ対策として52mmより大きいフィルターを使用する方法があります。ただし、何mmのフィルターなら解消されると言う保証はありませんので、広角側は使わないと言う割り切りが必要かもしれません。NEX以外でも転用するのであれば、出来るだけ大きいフィルター径のクローズアップレンズを買っておくという判断もできるでしょう。
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