ITmedia NEWS >

第1回 写真を見違えるように仕上げるRAW現像の基本デジタル一眼ビギナーのためのLightroom入門(2/2 ページ)

» 2011年09月01日 11時00分 公開
[永山昌克,ITmedia]
前のページへ 1|2       

Lightroomってどんなソフト?

 RAW現像ソフトにはさまざまな製品がありますが、大きく分けると、カメラメーカーが無償または有償で提供する「専用のRAW現像ソフト」と、カメラメーカー以外のメーカーが発売している「汎用のRAW現像ソフト」の2種類があります。

 専用ソフトは、そのメーカー製カメラのRAWデータのみに対応し、多くの場合はカメラに標準で付属しています。いっぽう、汎用ソフトはメーカーを問わず数多くのカメラのRAW現像に対応します。複数のメーカーのカメラを所有する人なら、汎用ソフトのほうが便利といえます。

 そんな汎用のRAW現像ソフトの中でも、機能と使い勝手のよさに定評のある製品がアドビシステムズの「Adobe Photoshop Lightroom3」(以下、Lightroom)です。前ページの作例の補正には、すべてLightroomを使いました。Lightroomは「ライブラリ/現像/スライドショー/プリント/Web」という5つのモジュールで構成され、現像だけでなく、写真の入力から管理、分類、印刷、出力までの幅広い作業に対応したソフトです。

photophotophoto
photophoto 左上から、Lightroomのライブラリモジュール、現像モジュール、スライドショーモジュール、Lightroomのプリントモジュール、LightroomのWebモジュール

 Lightroomでの作業は、まず「ライブラリ」モジュールにて、現像したいデータを読み込むことから始めます。読み込める静止画ファイルは、各社のRAWデータのほかJPEG、TIFF、PSD形式です。RAW現像ソフトといえば、RAWファイルを使うことが基本ですが、実はLightroomはJPEGファイルの読み込みと補正にも対応しています。RAWに比べると補正できる範囲や最終的な画質では劣りますが、多彩な機能を使えるという意味では、JPEGで撮影したデータでもLightroomで読み込んで管理・補正する価値は十分にあります。

photo JPEGファイルの読み込みと補正にも対応する(画面下にファイル名「imgp0388.JPG」の文字が見える)

 読み込んだデータは、サムネイルとして表示され、表示の拡大/縮小、並べ替え、Exifなどのメタデータの確認と編集、キーワードの設定などが行えます。また、各写真にレーティングやフラグ、カラーラベルを設定し、写真を多元的に管理・分類できることも特徴になっています。

 次の「現像」モジュールでは、さまざまな画像補正を行います。利用できる機能は、ホワイトバランス補正、露出補正、階調補正、トーンカーブ、色相と彩度、明瞭度、シャープネス、ノイズ低減、レンズ補正、トリミング、スポット補正などです。これらの補正機能は、RAWデータを直接加工しているわけでなく、補正の情報として記録されるだけなので、補正を何度繰り返してもオリジナルのデータは維持され、元のクオリティは損なわれません。いわゆる「非破壊編集」と呼ばれる仕組みです。

 そして、狙い通りの状態に補正できたら、JPEGやTIFF、PSDなどの形式で書き出します。必要に応じて、「スライドショー」モジュールにてPDFやMP4のスライドファイルに出力したり、「プリント」モジュールにてコンタクトシートのようなレイアウト印刷したり、「Web」モジュールにてHTMLやFlash形式の画像ギャラリーを作成したりもできます。

 ちなみに、製品名は似ていますが「Photoshop Lightroom」と「Photoshop CS」はまったく別のソフトで、機能と操作性は大きく異なります。Lightroomには、Photoshop CSのようなレイヤー機能やフィルタ機能はなく、画像を合成したり、派手な特殊効果を加えることはできません。逆にPhotoshop CSでは、プラグイン「Camera RAW」を使うことでLightroomとほぼ同等のRAW現像機能を実現できますが、複数の画像をまとめて処理する操作性についてはLightroomに及びません。

 写真撮影を仕事にしている筆者にとって、仕事にも作品にもLightroomは欠かせない存在になっています。「フォトグラファーがパソコンに向かう時間を減らし、撮影時間をもっと確保するためのソフト」という開発コンセプトの通り、非常に利便性の高いソフトといえます。プロアマを問わず、たくさんの写真を撮り、美しく仕上げたい人におすすめです(現在、乗り換え/特別提供版が販売されており、対象製品を持っていれば通常価格の半額以下で購入できます)。次回以降では、その現像機能の詳細をチェックしていきましょう。

alt

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.