2011年は、ペンタックスとニコンの参入によってミレーレス一眼の市場が大きく飛躍した1年でした。
8月に登場したペンタックス「PENTAX Q」は、1/2.3型の小型センサーを採用することで、レンズ交換式のデジカメでは世界最小最軽量を実現。そのスペックを初めて知ったときは、コンパクトデジカメ並みの小さなセンサーを採用したことに戸惑い、少々がっかりもしました。しかし、実際に使用すると予想以上の画質のよさ。トイレンズとうたいながらも、実は結構まともな写りを得られるワイドレンズやテレフォトレンズ、魚眼効果を手軽に楽しめるフィッシュアイレンズも魅力的で、物欲をそそられるカメラシステムに仕上がっています。
10月に発売されたニコン初のミレーレス一眼「Nikon 1 V1」についても、第一印象と使用感が異なるカメラでした。初めて見たときは、モックアップモデルのようなシンプルすぎるデザインに驚き、1インチという同社のデジタル一眼レフよりも小さなセンサーサイズに落胆もしました。しかし、実際の使用感は悪くありません。外装には高品位な質感があり、適度に厚みのあるボディは手にしっくりとなじみます。エレクトロニックシャッターを選び、電子音の設定をオフにすれば、撮る瞬間のレリーズ音をほぼ無音に近い、ごくわずかな作動音のみにできる点もユニークです。
「PENTAX Q」と「Nikon 1 V1」は、写真撮影の新しい楽しみ方や価値観を提案する意欲的なカメラといえます。どちらも操作面で疑問を感じる点はありますが、今後の展開には期待が持てます。
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ミレーレス一眼の先行組として、2011年に入ってより完成度の高い製品を投入したのが、パナソニックとオリンパス、ソニーの3社です。中でも個人的なお気に入りは、ソニーが9月に発売した「NEX-5N」です。昨年の初代モデル「NEX-5」からデザインはほとんど変わらず、ボディよりもレンズが目立つアンバランスなスタイルを継承。外観に目新しさこそありませんが、各所の性能はきっちりとブラッシュアップされています。
特にうれしい進化は、レスポンスがいっそう快適になったこと。レリーズタイムラグやオートレビュー表示の待ち時間が短縮。初代モデルで不評だった操作系にもメスが入り、カスタマイズの自由度が向上しています。
撮像素子には、ミレーレス一眼の中では大型のAPS-Cサイズの有効1610万画素センサーを搭載。これまで以上に解像力や高感度性能が高まり、一眼レフカメラに遜色(そんしょく)のない写りを実現しています。大きくて重い一眼レフカメラを持ち出す理由がなくなってしまうくらいです。最近になって、NEX用のEマウントレンズがいっそう充実してきたことも、NEX-5Nの価値を高めるポイントといえます。
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