ソニー「NEX」シリーズは、Eマウントシステムを採用したレンズ交換式のデジカメです。一般的なデジタル一眼レフと同等のAPS-Cサイズの大型センサーを搭載しながらも、ボディを小型軽量にまとめ、画質と携帯性を両立したミラーレスカメラとして、2010年の初登場以来、人気を集めてきました。
その最新作として「NEX-7」が登場しました。上下に可動する液晶のチルト機構を継承しつつ、従来製品では外付けだったフラッシュや電子ビューファインダーを標準装備した「全部入り」のシリーズ最上位モデルです。
何より注目したいのは、APS-Cサイズのセンサーでは最多となる有効2430万画素のCMOSを搭載したこと。一足先に発売されたAマウント製品「α77」(レビュー)のセンサーと同等のもので、画像処理の基本部分も受け継いでいます。記録画素数は6000(横)×4000(縦)ピクセル。非常に大きな画像となり、JPEGファイルの1枚のファイル容量は3〜10メガバイト以上にもなります。
どんな写真が撮れるのか、まず作例を見てみましょう。1枚目は、レンズキットに付属する標準ズーム「E 18-55mm F3.5-5.6 OSS」の18ミリ側で撮影したもの。画像の中央部を見ると、小さな葉っぱがくっきりと解像していることが分かります。さらに、より高性能なレンズを使用すると解像感がいっそう高まります。2枚目は、広角単焦点レンズ「Sonnar T* E 24mm F1.8 ZA」による作例です。隅々までシャープな写りとなり、木の枝や外壁の素材感が克明に再現されています。
画素数が多くなるほど高画質になるとは必ずしもいえませんが、高精細になることは確かです。次の2枚は、高層ビルの展望室からとらえた隅田川河口の眺望です。ガラス越しでの撮影ではありますが、PCのディスプレイ上で等倍に表示すると、近景の築地市場から遠景のゲートブリッジにかけて、風景の細かい部分までをつぶさに観察できます。
これほどの画素数が本当に必要なの? 一般的な印刷用途にはオーバースペックではないの? といった疑問がわくかもしれません。しかし筆者自身は、この精細な表現力は大歓迎です。ディスプレイ上で全体表示と部分拡大を交互に切り替えながら、ディテールを丹念に眺める面白さがあるからです。地図や絵巻物を見るような鑑賞スタイルといってもいいでしょう。本来の写真の見方とは少々異なるかもしれませんが、肉眼では気が付かなかったような発見もあり、1枚1枚をじっくりと楽しめます。
高精細が生きるのは風景写真に限りません。次の2枚は、展示された車の一部をクローズアップでとらえたもの。メタリックに輝く赤い車体と、そこに付着した小さなホコリやキズが精密に描かれ、金属の質感がリアルに感じられる写真になりました。
注意点は、画像が精細である分、ちょっとしたブレやピンぼけも目立ってしまうこと。手ブレに注意しながら、しっかりとカメラを支えて撮影すべきです。といっても、三脚を使って丁寧に撮るスタイルでは、NEX-7のせっかくの小型軽量ボディが生かされません。ポケットやカバンに入れて気軽に持ち運びながら、シャッターを切る瞬間だけは慎重になる。それくらいの感覚が本モデルには似合っています。
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