Z1000EXRが優れているのは撮影したあと。特にスマートフォンへの転送だ。
Z1000EXRはそもそも「ケータイに写真を送るための赤外線通信機能」を搭載しており、それを拡張してスマートフォンにも転送できるようにしよう、それなら無線LANを搭載するのだ、という感じがいい。
だから機能も使い勝手もシンプル。
スマートフォン側には「FUJIFILM Photo Receiver」をAppStoreかAndroid Marketからダウンロードしてインストールしておく。そしてアプリを起動し、カメラ側で送りたい写真を表示させてスマートフォン送信ボタンを押すだけだ。
このときスマートフォンが他のアクセスポイントに接続していると、スマートフォンの画面にアラートが出る。そこでアラートの「設定」をタップすると無線LANの設定画面にジャンプするのでZ1000を選んでからアプリに戻れば良い。スマートフォン側がアクセスポイントになるのだが、パスワードはかかってない分、面倒な初期設定が不要なのがよい。
セキュリティ的な問題は無いだろう。なぜなら、Z1000EXRがアクセスポイントになるのは写真を転送するほんのわずかな時間であり、転送作業自体はカメラ側で行うので、スマートフォンから勝手に写真を吸い上げられることはないからだ。
また、転送がシンプルな分、友達のスマートフォンに撮った写真を送ってあげる、という作業も簡単にできる。そういうシンプルさはアリだと思う。ちなみに送れるのは静止画のみで、3Mサイズに縮小される(編注:デフォルトでは3Mサイズだが、オプションでフルサイズ送信も可能)。
今までいくつかの無線LAN対応デジカメからスマートフォンに写真を送ってみたが、一番簡単で分かりやすいのがZ1000EXRだった。ちょっとした空き時間にさっと送りたい写真を送れる。無線LANを搭載しながらそれ以外(パソコンに写真を送るとか、インターネットを通して写真をアップするとか)の機能はない。その潔さも分かりやすさに一役買ってる。
写真を大量に送信するには向かないが、気に入った写真をピックアップしてスマートフォンに送る、という用途限定と思えば、機能は少ないが分かりやすい。
ただ、スマートフォンを使い慣れてるユーザーに、Z1000EXRのユーザーインタフェースはどうかな、とは思う。再生時のコマ送りやサムネイル一覧画面の切り替えはフリック操作可能なのに、一部設定項目の変更は三角アイコンをタップする必要があったりと、いわゆるスマホ的な操作UIと旧来的なタッチパネルUIが混在しているからだ。
でもまあ、Z1000EXRのターゲット層を考えるとそれはそれでいいのかなという気はする。スマートフォン風の操作を可能にすると、逆に操作ミスも増えるし、知らない人はとっつきづらくなるかもしれないし。
ともあれ、シンプルで分かりやすくてきれいな写真が撮れて、撮った写真をさっとスマートフォンを通してアップロードできたら便利、という人にお勧め。旅先でおいしいものを食べたら、あるいはきれいな風景に出会ったら、すぐ撮って公開したいというニーズに答えるには一番だろう。
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