後半は太陽を撮る話。
太陽を肉眼で注視するのは大変危険です。
これらの手段を講じた上でも、長時間見ないことを心がけてください。
太陽は危険である。いうまでもないけど、明るすぎる。肉眼で見てはダメなレベルである。一瞬チラッと見るくらいならよくても、太陽の写真を撮ろうなんて思うと無意識のうちに何度も見ちゃうわけで、これもよくない。
写真を撮る際でも、沈みかけた夕日レベルならまだしも(これでも十分に明るくて、地面や空と一緒に撮ろうと思ったら太陽が白飛びしちゃう)、晴れた日の太陽なんて普通では撮れない。
露出を思い切り落としても、めいっぱい絞り込んで、シャッタースピードをめいっぱい上げても無理である。
なので、太陽を撮るときは「NDフィルター」を使う。日本語だと減光フィルター。カメラにつけるサングラスみたいなもので、光量をぐんと落としてくれるのだ。ND2フィルターだと光量が1/2に、ND8フィルターだと1/8に(露出値で4段分)なる。昼間にわざとスローシャッターで撮りたいときなどに使う。
一般に売ってるのはだいたいND400(光量を1/400に落としてくれる)くらいまで。ND400にND8フィルターを重ねるとなんとか太陽を撮れる感じだ。本格的に太陽を撮るなら、太陽撮影用のNDフィルターが必要になる。ND100000である。10万分の1に光量を落とすのだ。想像できない値だよね。
実物を見ると、単なる黒い板だもん。
これを買う。実際にどのくらいのフィルターをつけてどう撮ればいいかは、フィルターを出しているケンコー・トキナーのサイトに詳しい。また、太陽撮影用フィルターを出しているマルミ光機のサイトも参考になる。
ケンコー・トキナーのページにはNDフィルターと露出の関係が書いてあるので参考になる。特にND400とND8フィルターを重ねた場合や、ND10000フィルターを使った場合の組み合わせも書いてくれるのがよいところ。ND100000フィルターが手に入らなかったり、ND100000フィルターは太陽を撮る以外に使い道がないので、もうちょっと幅広く使えるフィルターが欲しい、って人はND400とND8やND16を組み合わせるという手もある。ND400とND16を重ねると、ND6400分になるから金環日食なら撮れるでしょう。
ND100000のフィルターともなると、フィルター径のバリエーションも少ないので、ステップアップリングやステップダウンリングと組み合わせて使うことになる。
わたしはマイクロフォーサーズ用の100-300ミリレンズにND100000フィルターを組み合わせることにした。本当はもっと望遠のレンズがいいんだけど、なるべくコストをかけないという方針なので。
このレンズはフィルター径が67ミリなので、普通は大きめの77ミリのフィルターを購入し、67ミリ径のレンズに77ミリ径のフィルターをつける「ステップアップリング」で装着するのだが、77ミリのフィルターよりその下の58ミリのフィルターの方が安いので、逆に、67ミリ径のレンズに58ミリ径フィルターをつける「ステップダウンリング」を装着した。ちょっとせこいけど問題はない。
では撮る。
撮るときはできるだけ太陽を見ないように……というけど、構図を決めるときなんかは見ちゃうよね。そういう意味ではチルト式液晶のモニタを起こし、モニタを見ながら構図を決めると、肉眼が太陽を向くこともないので安全。空はもう見ない、というくらいの感じで。
フォーカスはAFであえばラッキー、あわなければMFで。試しにISO200 1/2000秒 F8で撮ってみたのがこれ。
黒点がはっきり見える。右下に大きなのがひとつ。中央左に2つ、上方にひとつ。これだけ撮れればけっこう楽しい。右下の大きな黒点は「AR1476」と呼ばれる巨大黒点だ。
実際、太陽はどのくらいの大きさで撮れるか。実は満月を撮るのと変わらないと思っていい。地表からの見かけ大きさはほとんど同じだ。だから日食が起きるわけだし。上の写真もトリミングしてないとこんな感じだ。
露出は撮影場所、大気の条件や太陽の位置によって変わる。真っ昼間だとこんな感じだが、早朝や夕刻だともうちょっと露出を下げていい。シャッタースピードを下げるとかでもいい。日の出直後の太陽だと、1/800秒でOKだった。
手持ちでも撮れるけど、楽で安全(手持ちだとつい太陽を見ちゃいがちだから)なのは三脚。この季節の昼間は太陽が高い位置にあるのでこんな風にすると撮りやすい。
三脚にカメラを前後反対にとりつけると、真上に近い写真も撮れる。液晶モニタをこうやって開いて撮ると空を直接見なくて済むのでよい。金環日食はもっと低い位置で起きるのでひっくり返す必要はなし。
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