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「D3200」の写真をワイヤレスでスマホへ飛ばそうスマホをリモコンがわりにも

» 2012年06月05日 10時34分 公開
[ITmedia]
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 無線LANを利用して撮影画像をスマホへ――今春のコンパクトデジカメが多く取り組んだそのアプローチに、デジタル一眼レフも対応してきた。ニコンが5月下旬より販売を開始した「D3200」とその専用オプションとして用意される無線LANアダプター「WU-1a」の組み合わせだ。

photophoto 重量わずか3グラムの「WU-1a」。利用に際してはD3200側面のUSBへ装着する

 D3200のカメラとしての機能や描写についてはレビューを参照してもらうとして、まずは無線LANアダプター「WU-1a」を紹介しよう。WU-1aはIEEE 802.11 b/gを利用するワイヤレスアダプターで、サイズは18(幅)×21(高さ)×10(奥行き)、約3グラムと非常に小さい。そのために説明書では付属のストラップを付け、カメラのストラップへぶら下げることが推奨されている。

 利用に際しては、無償のアプリ「Wireless Mobile Adapter Utility」のインストールが必要となる。現在はAndroid用(スマートフォンでは2.3系、タブレットでは3.x)のみの提供となっているので、Google Playから入手する。なお、今秋にはiOS版も提供される予定だ。

 D3200への装着にはカメラ側面のUBSを利用する。カメラ側では特に設定の必要はなく、差し込んだ後にカメラの電源を入れ、WU-1aの側面ボタンを約5秒間押すとLEDが赤と緑に点滅し、接続準備が整う。

photophoto 「Wireless Mobile Adapter Utility」(写真=左)、カメラにWU-1aを装着して電源オンしたのち、アプリの画面ガイダンスに従っていけばカメラとスマートフォンがワイヤレス接続される。Nikon_WU_ で始まっているSSIDがD3200にセットされているWU-1aのもの(写真=右)

 今回はSonyTablet SとGalaxy Sで試用したところ、Androidデバイスが別の無線LANへ接続している時にWireless Mobile Adapter Utilityを起動すると、カメラと無線接続するかを尋ねられ、「はい」と答えると無線LAN設定画面へ遷移した。基本的にアプリの指示通りにすれば接続が完了するため、初めてこうしたデバイスを利用するひとでも接続が完了するまでに迷うことはないように思える。

 Wireless Mobile Adapter Utilityが起動すると、「カメラで撮影する」「リモートで撮影する」「画像を共有する」「カメラから画像を取り込む」と4つの項目が表れる。

 「カメラで撮影する」ではカメラのシャッターボタンを押すと、即座に撮影画像がアプリに送られる。「リモートで撮影する」は文字通りのリモコン撮影。これを選択するとD3200がミラーアップしてライブビュー状態となり、本来ならばカメラの背面液晶に映し出される映像がスマートフォンやタブレットから確認でき、画面上のシャッターボタンでシャッターを切れる。

 ただ、リモート撮影でできることはシャッターを切ることと、アングル、それに絞り値、シャッタースピード、カメラバッテリーの残量、撮影済み枚数の確認までで、設定の変更は行えない。あくまでも有線でのレリーズ撮影にライブビュー機能を追加したものと思っておいた方がよいだろう。

photophoto 「リモートで撮影する」を選択するとスマートフォンをワイヤレスリモコンとして利用できる。ただしD3200はライブビュー撮影の状態となるので、オートフォーカスは遅い

 「カメラから画像を取り込む」を選択すると、カメラのメモリカード内にある画像をスマートフォンあるいはタブレットのストレージへコピーできる。まずはサムネイルを読み込み、その後に任意の画像を選択をしてコピーするという流れだが、D3200は有効2416万画素という高画素センサー搭載機であるため(画像サイズは最大時に6016×4000ピクセルとなる)、一瞬で転送という訳にはいかない。

 転送速度は無線環境や利用する端末によって変化することが想定されるので、あくまでも一例として参照してほしいが、JPEG最高画質(FINE)の画像3枚(約33.6Mバイト)を転送するのに、SonyTablet Sへは約35秒、Galaxy Sへは約38秒の時間がかかった。

photophotophoto NTTドコモ「Galaxy S」への転送例。RAW+JPEGで撮影したRAWファイル(NEF)も転送できたが、容量が大きいので転送には時間がかかる

 サイズを小さくすれば転送速度は上がるはずと、試しに撮影設定で画像サイズをS(3008×2000ピクセル)としたところ、画質「FINE」の3枚(約18.5Mバイト)を約12秒でSonyTablet Sへと転送できた。カメラ内で編集/トリミングした画像もWU-1aでスマートフォンあるいはタブレットへ取り込めるので、撮影はすべてRAWあるいはJPEGフル画最高画質で行い、転送したい画像についてはカメラ内編集を事前にしておくというのも有効だろう。

 ただし、WU-1aをUSBに差し込んだ状態ではカメラの画像補整メニューが利用できなかった(「現在のカメラの状態・設定ではこのメニューは選択できません」というメッセージが表示される)ので、カメラ内編集を行う際にはWU-1aを取り外しておく必要がある。

photophoto SonyTablet Sへの転送(写真=左)、「画像を共有する」画面からは転送済み画像の一覧を確認できる(写真=右)

 転送した画像はWireless Mobile Adapter Utilityの「画像を共有する」から確認できる。閲覧するだけならばここから見ればよいし、「共有」をタップするとBluetoothやGmail、Picasaなどのアイコンが表れるのでそれらを利用してもよい。Facebookなどのアプリがインストール済みならば、そちらへ画像ファイルをインポートすることもできる。


 デジカメの撮影画像を無線転送する手段としては、現在、「Eye-Fi」「FlashAir」のような無線LAN機能搭載メモリーカード、それに無線LAN機能搭載SDカードリーダー「AirStash」が存在しており、WU-1aの使用感がこれらのどれににているかと言えば、FlashAirのそれに近い。

 転送機能自体はシンプルだが、ライブビュー付きワイヤレスリモコンとしての利用も可能なので、ここは特定機種専用オプションならではのプラスアルファといえる。このように利用も簡単で、スマートフォン/タブレットの普及を考えると、WU-1aはその価格(5250円)以上に価値があると考えることもできるだろう。

 それだけにカメラへの取り付け方法はちょっと残念。装着時に側面のフタが中途半端なかたちで半開きになるのは、どう考えてもスマートではない。とはいえ、被写体や状況にもよるだろうが、スマートフォンやコンパクトデジカメより、デジタル一眼レフで撮影した方が高画質な写真(意図通りの写真と言うべきか)を撮れる可能性は高い。そうした画像を素早く活用する手段として、カメラにネットワーク機能を追加するWU-1aは有効だ。デジタル一眼レフで撮ったお気に入りの1枚を、スマートフォンに転送し、TwitterやFacebookなどですばやく仲間と共有できるのはなかなかすてきな体験だと思う。

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