キヤノンのデジタル一眼レフ「EOS Kiss」シリーズの新モデルとして、「EOS Kiss X6i」が登場した。昨年発売した「EOS Kiss X5」の基本デザインを受け継ぎながら、ライブビューや動画撮影時のAF性能を改良したほか、液晶のタッチパネル化や連写の高速化を実現している。
まず外観から見てみよう。ボディは、既存モデルEOS Kiss X5と同じくフルブラックの樹脂外装を採用する。新旧の2台を並べて比較すると、ボディラインのエッジが少し強くなったことや、ボタンやダイヤルの形状がマイナーチェンジしていることに気付く。
ボディの左肩にあった内蔵マイクは、ステレオ化した上で天面に移動した。また、天面にあったDISPボタンはなくなり、その代わりにファインダー接眼部の上にディスプレイオフセンサーを搭載した。従来はモードダイヤルで選択していた動画モードについては、電源スイッチで行えるようになった。
ボディのサイズはほぼ同じで、重量はわずかに5グラム増加。最近の小さなミラーレスカメラに比べると一回り大きなボディだが、光学ファインダーを搭載した一眼レフカメラとしては小型軽量のクラスだ。グリップは小さめだが、ホールド性は悪くない。既存モデルと共通のオプションであるバッテリーグリップ「BG-E8」を装着して、よりホールド性を高めることもできる。
一番の見どころは、EOSシリーズでは初となる撮像面位相差AFを搭載したこと。これは、ライブビューや動画撮影の際に、撮像面に組み込まれた位相差AF用の画素によって、まずおおまかな測距を素早く行い、その後コントラストAFによって正確にピントを合わせる仕組み。
フォーカス機構にSTM(ステッピングモーター+リードスクリュー)を採用した新レンズ「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM」を使った試用では、ほぼ無音でスピーディに作動するAF性能を確認できた。ミラーレスカメラのコントラストAFに匹敵する速度といっていい。従来レンズ「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS」を使った場合は、既存モデルEOS Kiss X5よりはスピードアップしているが、測距の際にジジーと作動音が鳴り、合焦までに待たされる印象が残る。つまり、EOS Kiss X6の撮像面位相差AFは、STMレンズと組み合わせた場合にこそ、その性能を発揮できる。
ライブビュー撮影時のAF方式は、任意の1点でピントを合わせる「ライブ1点AF」のほか、最大31点のエリアから自動で測距点が選ばれる「ライブ多点AF」や、顔や動体に対する自動追尾が働く「顔+追尾優先AF」、位相差検出AFのみが作動する「クイックAF」の計4モードに対応する。
このうち、ライブ1点AF/ライブ多点AF/顔+追尾優先AFを選んだ場合は、ライブビュー上の被写体に常にピントを合わせ続ける「コンティニュアスAF」を併用できる。また動画撮影では、動体にピントを合わせ続ける「動画サーボAF」が利用可能だ。
一方、ファインダー撮影では位相差検出AFのみが作動する。測距点の数はこれまでと同じく9点だが、その全点にクロスセンサーを新採用。ストレスなく、てきぱきと作動するAFスピードを体感できた。ちなみにSTMレンズ「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM」では、ファインダー撮影でもAFの駆動音はほぼ無音に近い。マニュアルフォーカス時のスカスカとした感触はよくないが、静音性ではUSMレンズを上回る。
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