富士フイルム「X100」は、昨年3月に登場した高級コンパクトデジカメだ。レンズに開放値F2.0の明るい単焦点を、撮像素子にAPS-Cサイズの大型CMOSセンサーを搭載するなど、コンパクトデジカメの中ではワンランク上のスペックを誇り、写真にこだわる愛好家層に人気のカメラである。
そんなX100の新しいオプションとして、「WCL-X100」が発売になった。レンズの前面に装着することで、焦点距離を0.8倍に変換するワイドコンバージョンレンズだ。つまり、35ミリ判換算で35ミリ相当の焦点距離を持つX100の元のレンズが、よりワイドな28ミリ相当のレンズに生まれ変わるのだ。
外装は、高品位な金属素材。元のレンズやボディにぴったりとマッチするデザインで、後から取って付けたような感じにはならない。カラーバリエーションは、ボディカラーに合わせてシルバーとブラックの2色が用意される。
フィルター径は49ミリ。X100用レンズフード「LH-X100」やプロテクトフィルター「PRF-49S」を装着することも可能だ。開放値は元のレンズと同じく、F2.0に対応。最短撮影距離も変わらず、マクロモードを選ぶことで、最短10センチの接写が可能になる。
実写では、画面四隅までシャープに解像する光学性能の高さを確認できた。歪曲収差と倍率色収差、開放値での周辺光量低下はそれなりに生じるが、これらは撮影メニューの「ワイドコンバージョンレンズ」をオンにすることで、目立たないようにデジタル補正できる。
また、この撮影メニューの「ワイドコンバージョンレンズ」をオンにした状態では、ファインダー視野率約80%の範囲を示すラインが光学ファインダー上に表示され、それをガイドにして撮影ができる。つまり、X100の特長である「ハイブリッドビューファインダー」は、WCL-X100を装着した状態でも利用できるというわけだ。撮影メニュー「ワイドコンバージョンレンズ」は、FnボタンまたはRAWボタンに割り当てておくと便利だろう。
そもそもX100は、専用設計の単焦点レンズが生み出す描写性能の高さと、レンズ一体型ならではの潔さが大きな魅力だった。レンズ交換式やズームレンズを搭載したカメラにように、何でも自由に撮れるわけではなく、単焦点という制約を楽しみながら、使いこなすカメラといえる。そのストイックな魅力は、WCL-X100にもそのまま継承されている。
35ミリ相当に加えて、28ミリ相当で撮影可能になったからといって、撮影領域が格段に広がる訳ではない。しかし、撮る楽しみは確実に広がる。35ミリ相当の画角や距離感に慣れて使いこなしているX100のユーザーであれば、さらにWCL-X100を装着することで、今度は28ミリ相当の画角や距離感を楽しめるようになるだろう。
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