マイクロフォーサーズのハイエンドレンズが充実してきたのである。これがなかなか楽しい。もともとミラーレス一眼って、コンデジと一眼レフの間を埋めるべく、コンデジからのステップアップにどうぞ、と登場したようなものだから、どうしても小型軽量、そして安価なズームレンズが先にそろう傾向にあった。でも、ハイエンド系ボディが出てくると、それに相応しいレンズも求められるわけで、わたしもその例に漏れず、OM-Dの性能をちゃんと発揮できるレンズが欲しいなと思い始めていたのである。
特に欲しいと思っていたのがハイエンドの標準ズームと単焦点望遠レンズ。で、それがこの時期に出てきたのだ。パナソニックの「LUMIX G X VARIO 12-35mm/F2.8 ASPH./POWER O.I.S.」(以下 12-35mm/F2.8)とオリンパスの「M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8」(以下 75mm/F1.8)の2本である。
時系列順で言えば、先に登場したのが、パナソニックの12-35mm/F2.8。ポイントはいくつかあって、
の3つかな。考えてみたら、パナソニックは防じん防滴のボディを持ってないわけで、まるでOM-Dのためにあるようではないか。まあ、近いうちにこれに相応しいボディを出すんだろうけど。で、ちょうどOM-Dに常時つけておける常用レンズが欲しかったのでつい買っちゃったのである。
これがまた使いやすい。太さも重さもほどよいし、ズームリングの回転もスムーズでトルクもほどよい。よいレンズである。広角端は装着時24ミリ相当で周辺部の劣化も少ない。
望遠は35ミリ(35ミリ換算70ミリ相当)。足りないかな、と思ったんだけれども使ってみるとそう気にならない。F2.8なので、開放で撮ればそれなりにボケてもくれる。
それに、けっこう寄れる。最短撮影距離は撮像素子面から25センチなので、マクロとはいかなくても実用性は高い。常用レンズとしては文句なし。
で、気になったのが、じゃあ、標準ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3EZ」(以下 12-50mm/F3.5-6.3EZ)と比べてクオリティはどのくらい違うか、ということ。
絞り値が違うのはすぐわかる。12-50mm/F3.5-6.3EZの35ミリ近辺ではF5.6が開放になる。F2.8とは2段違う。F5.6ではISO1600の場所でも、F2.8ならISO400で撮れる。しかも広角も望遠も開放絞り値が同じなのは使いやすい。
描写力はどのくらい違うのか、は比べてみるのが一番。同じ位置からワイド端で撮り比べてみた。下の写真2枚はそれぞれ上がオリンパスの12-50mm/F3.5-6.3EZ、下がパナソニックの12-35mm/F2.8。どちらも焦点距離は12ミリ。絞りはF5.6で統一した(初出時、上下の説明が誤っておりましたので修正しました 2012年7月11日 14:20)。
こうして見比べると、ディテール描写力は明らかに違う。でもこれはオリンパスvsパナソニックという話でもオリンパスのレンズが悪いという話でもなくて、標準ズームレンズとハイエンドズームレンズの違い。
何しろ、パナソニックの12-35mmF2.8の方が値段は2倍以上する、太くて重いし、望遠側が弱いのである。これで差が出なかったら悲しいではないか。この違いが気になる人はそれなりにお金を払っていいレンズを買って下さいということですな。
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