RX1で写真を撮るとして、被写体として最適なものはなんだろう。使い方としたらスナップ写真、それもこのデジカメが持つ豊富な情報量(画素数とハイダイナミックレンジ)を生かすのなら、かなり思い込みの入ったものがいい。
そこで僕は20年前まで住んでいた中野を被写体に選んだ。僕はここで大学生活を過ごし、就職をし、結婚をしたのだ。本当に懐かしい街。
中野駅に降り立ち、北口に出る。アーケードのサンモール商店街は今日も人であふれている。戦後の闇市からそのまま発展したこの街は、再開発もままならない。だからいたるところに路地がある。ひょいと脇道に入ると、メインの通りとは打って変わって、妙な静寂が感じられたりする。地元の人は幅1メートル程の路地をうまく使って、混んだ道を避けて移動するのだ。
この喧騒と、静寂を切り取る。RX1の描写は驚くほど素直だ。まったく癖がない。周辺の光量は落ちないし、広角レンズにありがちな、外側に引っ張られるように像が流れることもない。そのためだろうか、できた写真に立体感が感じられる。遠くの被写体と近くの被写体が、はっきりと遠近感を持って見えるのだ。これがフルサイズCMOSの持つプラスアルファの実力の部分なのだろう。
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