軽量コンパクトなミラーレス一眼フルサイズ「α7/7R」。その大きさにマッチしたF4通しの標準域ズームレンズ「Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS」(SEL2470Z)を試してみた。まだまだ本数的に少ないFEレンズ群の中で、日常的に使用できるズームレンジを持つ気になる1本だ。
ズーム全域でF4のため約426グラムと軽量なこのレンズは、定評のあるカールツァイスのT*(ティースター)コーティング、非球面レンズ5枚、EDガラス1枚を用いたぜいたくな仕様となっている。スペックだけでなく外観も魅力的だ。SEL2470Zの外観デザインは他のツァイスレンズシリーズ(Aマウント含む)とほぼ同様。マウント部分のくびれを除いて、鏡筒部分はストレート基調にデザインされている。シャープでクールなイメージを醸しだすことに成功しているが、何本も並べてみると、ぱっと見どのレンズか判別つきにくいこともあるのも事実だ。
α7RにSEL2470Zを装着してあちこち撮り歩いた。貸出機のα7Rにはストラップを通す三角環がなかったため、ストラップなしのまま持ち歩いたが、ボディとの合計重量が1キログラム以下なので、落下させる心配も少なく、疲れを感じることなくグリップをホールドして撮影することができた。これは装着時の重量バランスがいいこともあると思う。ただレンズマウント部を持って歩くと、ネット上で話題になった「マウント部がグニャグニャする」という事象を感じることができた。
玉砂利の海岸をワイド端でスナップ。カメラ側のレンズ補正をオフにして撮影したが、玉砂利ひとつひとつのディテールは良好だ。砕け散る波の質感も高い。海岸線で休む鳥たちもしっかりと確認できる。
24-70mmという画角は日常の撮影にピッタリ。スナップから風景、ポートレートまでこなすことが可能だ。ワイド端で洋館を撮影したが、直線はしっかりとストレートに、レンガの凸凹感もリアルに表現できている。コンパクトなオールマイティーレンズと言えよう。
開放F4だと暗い場所で手ブレが心配、と思われるが、OSS(レンズ内光学式手ブレ補正)がよく効くのでISO感度を上げずに、低ノイズのまま撮影が可能だ。ローソクを模した照明にフォーカスしてシャッターをレリーズ。ハイライトから暗部までのトーンはなかなかのものだ。
スッと真っ直ぐに伸びた木と直立するモデル。絞り開放でモデルの顔にフォーカスして撮影したが、とてもクリアなイメージをキャプチャーできた。若干周辺光量落ちが気になるがこれは味と考えよう。どうしてもという場合は2段ほど度絞れば解消する。空気の透明感とモデルの髪、肌の描写がいい。
α7/7Rユーザーにとってこのレンズはマストバイだろう。軽量コンパクトなのでこのようなハイクなどでも非常に重宝する。広角〜中望遠までカバーする本レンズを基本に、明るくボケを楽しめる単焦点を追加してシステムを構築していきたい。今後追加されるFEレンズのタイプとペースによってこのカメラの価値が決まってくるはずだ。
モデル撮影にもこのズームレンジは有効だ。ワイド側で周辺環境を入れつつ撮るのもよし、テレ側でぐっと寄って撮るのもよし。シャープなフォーカス面と柔らかなボケた面の両方を味わえる優秀なレンズとなっている。瞳や肌、濡れた唇のディテールがとても好ましい。
このコンパクトさで良好な描写をする本レンズはとてもうれしい存在で、モデルと2人で歩き回って撮影するのにはベストマッチといえる。AFは超高速とはいえないものの、じっくりとモデルに向き合って撮影するのには十分なスピードであると感じた。
フルサイズで24〜70ミリという画角は被写体と会話をしながらお互いに作品を作っていくのにとてもいい距離感だと思う。ちょっと残念だったのはα7Rのシャッター音だ。もう少し静かに、そして上品だったら申し分ないのだが。
(編注:本記事では一般的な撮影状態での利用を念頭としているため、人物撮影にレフ版などは利用しておりません)
(モデル:木谷有里 オスカープロモーション)
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