前回は、「絞り優先モード」を使って、「開ける」と「絞る」を簡単に解説しました。絞りを開けると、ピントが合っていない部分をぼかすことができます。どんなときに絞りを開け、ぼかせばいいのでしょうか。今回は実際の撮影シーンで有効なぼかし方のテクニックを紹介します。
ポートレートで人物の表情をとらえたいときや、マクロで花を撮るときなど、メインにする被写体の背景に、意図しているものとは違う、不要なものが写り込んでしまうケースでは、絞りを開けてぼかす方法が有効です。F2.8など、明るい絞りに設定して撮影することで、背景をよりぼかして被写体を印象的に表現できます。このとき、背景の色を一定にしたり、被写体と背景との距離を適度にとることで、見せたいイメージを的確に表現することが可能になります。
夜景など暗いシーンでは、ISO感度を高く設定することで、手ブレしにくいシャッタースピードを確保できますが、絞りを開く(F値を明るくする)ことでも、ISO感度をできるだけ低くしながら、キレイな画質で撮影することが可能になります。
夜景撮影時の街中の電灯や信号、車のライトなどの光源は、F値を低くして被写体の背景としてうまく写真の中に取り入れると、光源の色をまとったボケとして現れます。光のボケは光源の位置が同じでも、F値が1.4など明るいときは大きく出て、F2.8やF4など絞っていくと小さくなるので、ボケが大きく出すぎてしまった場合はF値を調整してみましょう。
ボケの使いこなしファーストステップとして、背景の整理と夜景時のぼかしを紹介させていただきました。
ボケには前ボケと背景ボケがあり、以下のことを覚えておくことが大切です。
一枚の写真で3つの層を意識すると、撮れる写真が変わってきますので、秋の撮影シーズンに活用してみてはいかがでしょうか。
MAKOTO TSURUTA(つるた まこと)
元『週刊ゴング』カメラマン。スポーツで写真を学び、その後メーカー担当として首都圏量販店に常勤し、一眼レフカメラの販売を担当。現在Webプロモーションを得意とする活動の傍ら、写真をさらに楽しむコンテンツサイト「PHOTOWORK」http://photowork.jp/を運営中。個人サイトはhttp://one-cut.net/
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