AFには、117点の位相差AFと25点のコントラストAFを組み合わせた「ファストハイブリッドAF」を搭載する。測距点の数は従来と同じだが、位置検出のアルゴリズムの改良、およびレンズ駆動の最適化によって、AFレスポンスは約30%高速化し、追従性については約1.5倍に高まったという。
新旧2台を交互に使って動体撮影を試すと、確かにAF性能がよくなったことを実感できる。ただ、それでもまだ十分に快適な動体追従性と呼べるほどではない。ポートレートなどのゆっくりした動きなら問題ないが、激しく動きまわるスポーツなどを撮るためのAF性能としては、少々物足りなさが残る。
シャッターボタンの操作感は従来機とあまり変わらず、押した際にフワッとした感触があり、ストロークは長めだ。個人的にはもう少し短いストロークが好みだが、従来機から移行したり、併用する場合でも違和感はないだろう。やや大きめのシャッター音もほとんど変わっていない。
そのほかの改良としては、XAVC Sの動画撮影に対応したことや、映像のトーンを調整できるピクチャープロファイルを搭載したことなど、動画関連の機能強化が挙げられる。また、起動時間は約40%短縮した。
撮像素子には、従来機と同じく35ミリフルサイズの有効2430万画素CMOSセンサーを搭載する。画像処理エンジン「BIONZ X」も継承し、ISO50〜25600の範囲で選べるISO感度や、最高約5コマ/秒の連写などのスペックに変更はない。
実写では、これまでと同じく精細なディテール表現力と、クセのない素直な発色、低ノイズの高感度画質を確認できた。そこに、ボディ内手ブレ補正が加わったことで、暗所でも感度をあまり高めずに済むようになった。撮影の自由度をいっそう広げる進化といえる。
ただ操作の細かい部分には、個人的な改善要望点がいくつかある。例えば、液晶モニターとEVFの表示を切り替えるためのアイセンサーの反応が敏感すぎることや、カスタムキーに割り当てられる機能の種類が十分でないことなどだ。また、ホットシューの色または仕様が変更になったためか、市販のストロボやスレーブが発光しなくなっていたことも気になる。
とはいえトータルとしては、フルサイズ画質を気軽に楽しめるミラーレスカメラとして充実した内容だ。手ブレ補正がある分、従来機よりもやや高価になったが、それだけの価値はあるといっていい。
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