富士フイルムから、Xマウントユーザー待望の「防じん防滴・耐低温構造」の明るい広角単焦点レンズが登場した。この高い描写性能を持ちながらタフな環境でも撮影できる「XF16mmF1.4 R WR」を、X-T1 グラファイトシルバーエディションに装着して試した。
手にした印象は「しっくりくる」だった。ほどよいサイズと重量は、スムーズにEVFをのぞくのにちょうどいい感じ。そのままフォーカスリングを手前に引いてのマニュアルフォーカス移行も違和感なく行えるのが嬉しい。置きピンでのスナップや動きものの撮影も問題ない。防塵防滴・耐低温構造のため、各所にシーリングが入っているので、フォーカスリングの動きが渋くなっているのではないか?と心配したが、そんなことは全然なく、むしろ絞りリングはもっと節度感がほしいくらいに軽く感じた。
開放F値は1.4、焦点距離は35ミリ判換算24ミリということで、被写体にグッと近寄ってワイド感を出し、背景をぼかした撮影ができる。最短撮影距離15センチというのもこのレンズの大きな武器だ。開放から隅々までシャープで解像感あふれる描写は、11群13枚で非球面レンズ2枚、EDガラスレンズ2枚というリッチなレンズ構成によるもので、光学系のみで収差を抑えた写りはフジノンレンズらしいところだ。
WRレンズということだが、一般的な撮影でも活用できる、明るくて寄れる高性能なワイドレンズとなっている。風景からスナップ、ドキュメンタリーなど幅広いジャンルで真価を発揮するに違いない。
絞り開放F1.4での描写はシャープだ。線が細かく緻密な写りである。乱雑に貼られたステッカーのヤレ具合がよく分かる。
35ミリ判換算24ミリなのでワイド感あふれる写真が撮れる。見た目の印象そのまま、清涼感あるカットをこのレンズは写しとる。
町名表示板に近寄って、絞りをわずかに絞って撮影。文字部分の塗装の厚みや壁の素材感、また背景のボケ具合や点光源の描写がいい感じである。
チョイ絞りで廃墟化している民家を撮影。壁をはうツタのリアリティさ、すすけたガラス戸などがイメージ通りに撮れた。歪みがない描写も魅力である。
35ミリ判換算24ミリという画角は幅広いジャンルの撮影で役立つ。しかも防塵防滴・耐低温構造なので、過酷なネイチャーやドキュメンタリー分野でも安心して使えるのがいい。マニュアルフォーカスのしやすさも利点だ。
ゆがみの少ない写りは実に気持ちがいい。鮮やかな色再現性とクリアな描写は、単焦点レンズならではである。
狭い場所でのスナップや、暗い場所でシャッタースピードを稼ぎたいシーンなどで、このレンズは活躍する。Xマウントユーザーにとって悩ましくも新しい選択肢ができたと言えるのではないだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR