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シグマの「箱入り娘」が描き出す、ゆがみのない超広角の世界――「SIGMA dp0 Quattro」

» 2015年07月09日 09時00分 公開
[三井公一ITmedia]
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dp0 Quattro SIGMA dp0 Quattro

 超高精細で独特の写りを誇る「dp Quattro」シリーズ。熱狂的なファンを持つこのカメラはすでに3モデルがリリースされている。35ミリ判換算で28ミリの「dp1 Quattro」、35ミリ判換算45ミリの「dp2 Quattro」、35ミリ判換算75ミリの「dp3 Quattro」だ。レンズの焦点距離が異なるだけで、3モデルの基本的な本体スペックは共通だ。詳細は過去の発表記事dp2 Quattroのレビュー記事を参照してほしい。

 「dp Quattro」の熱烈なファンはこの3台を購入して、ワイド、標準、中望遠と撮り分けて楽しんでいたが(ちなみにdp3 Quattroに「コンバージョンレンズ FT-1201」を装着すれば1.2倍の90ミリ相当で楽しむこともできる)、Foveon Quattroセンサーの写りを知って、楽しめば楽しむほど「もっとワイドで撮りたい!」という欲求が生まれてくるのは当然とも言えよう。それに応えたのがシグマである。以前から「もっと広角のdpを」という話はあったそうだが、開発陣の設計した贅沢な仕様をそのまま製品化した。シグマの代表取締役社長、山木和人氏いわく、「開発者に驚かれたくらい」の出来となった。その無限遠時歪曲収差1%以下という究極のレンズ性能を持つ「箱入り娘」(山木社長談)がついにリリースされる。

 SIGMA dp0 Quattroを手にすると「え? こんなに軽いの?」と驚くはずだ。シリーズ中最もレンズ全長が長く本体重量もあるのだが、見た目とは裏腹に軽く感じてしまう。操作感、使用感は他dp Quattroと全く同じ。シリーズ4機種そろえて使っても、安心して撮影に没頭できるようになっている。違うのは液晶モニターに映し出されるワイドな絵だけ。しかもその絵は歪みがないので「超広角感」がない。世界が歪みなくギュッと縮こまってコンパクトに凝縮された感じに見える。それくらいレンズの描写が素晴らしいのだ。

 SIGMA dp0 Quattroには今回LCDビューファインダー「LVF-01」とのセットが用意される。大変お得な価格になっているので、このセットを強力にオススメしたい。なぜならこれを付けてファインダーをのぞくことで手ブレも軽減できるし、撮影に集中できることはもちろん、超広角になると難しくなる「水平出し」がやりやすくなるからだ。もちろんdp Quattroらしい「変態度」も高まる。超オススメだ。

dp0 Quattro 絞り優先オート(F4、1/60秒)、ISO100、WB:オート色残し

 21ミリという超広角ながら、歪曲収差が極限まで排除されているので、実にスッキリと気持ちよく撮影できる。dp0 Quattroは建築や風景撮影で大活躍しそうだ。

dp0 Quattro 絞り優先オート(F8、1/160秒)、ISO100、−1.3EV、WB:オート、

 高台からアジサイを入れて港を撮影。花と葉の解像感はさすがdp0 Quattro、という印象である。

dp0 Quattro 絞り優先オート(F5.6、1/125秒)、ISO100、−1EV、WB:オート

 ややアンダー目にコッテリと歴史を感じる看板群をシューティング。被写体の素材感というかリアル感を余すところなく写しとれるのが魅力だ。

dp0 Quattro 絞り優先オート(F4、1/250秒)、ISO100、WB:オート

 約18センチまで近接撮影が可能なので、グッと被写体に寄ればこれくらい背景をぼかすことができる。ピントの合った部分のシャープさは実に見事。

dp0 Quattro 絞り優先オート(F8、1/125秒)、ISO100、WB:オート色残し

 直線が見事に真っ直ぐ写る。これがdp0 Quattroに搭載されたレンズの特長である。この描写がこのサイズと価格で手に入るのがスゴい。

dp0 Quattro (絞り優先オート(F5.6、1/100秒)、ISO100、−0.7EV、WB:オート色残し

 21ミリ相当の画角は引きのない場所での撮影にピッタリだ。下町にある路地の空気感をdp0 Quattroは確実に写しとってくれた。ディテールに注目してほしい。

dp0 Quattro 絞り優先オート(F6.3、1/320秒)、ISO100、WB:オート

 dp Quattroシリーズはモノクロームが楽しい。トーンの豊かさが魅力だ。無料の専用現像ソフトウエア「SIGMA Photo Pro」でRAW現像を楽しんでみてはいかがだろうか。

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