家電量販大手であるBest Buyのワシントン州ベルビュー支店では、店舗の入り口付近にKindle、ソニーのeReader、そして、Barns & NobleのNookを大量に並べるなど、電子書籍リーダーをSaleの主役に展開している。Velocity Cruz Reader、Pandigital Novel、Literati Wireless Readerといったマイナーメーカーの電子書籍リーダーも一緒に展示した電子書籍リーダーの専門コーナーでは、製品知識の豊富な専門スタッフが熱心に製品の説明をしていた。
その専門スタッフにお勧めの製品を聞くと「実績と製品の品質ではKindleだ。ただ、NookやSonyのeReaderには、Kindleにない“本の貸し出し機能”がある」と述べ、マイナーメーカーの製品に関しては「とにかく安くて最低限の機能を利用したいユーザー向け」と説明してくれた。ただ、KindleのWiFiモデルが139ドルで購入できる2010年の年末商戦で、100ドル前後のマイナーメーカー製電子書籍リーダーの値ごろ感は弱い。
ちなみに、同店ではでは、ブラックフライデーのドアバスターに、NookのWiFiモデルを99ドル99セントで販売し、これが、早朝4時の開店直後に売り切れたが、その一方で、10月に発売されたNookのカラーモデルが、展示棚の下に追いやられ、スタッフも「これを買うならiPadを選ぶべし」と販売に積極的ではなかった。
なお、同店にも“数種類の”Android搭載タブレットデバイスを扱っていたが、こちらでも年末のSale対象になっていなかった。
2010年の年末商戦で主役となるはずだったAndroidタブレットデバイスだが、デジタルガジェット専門店での存在感は薄い。ガジェット系ショッピングの王道「Amazon.com」がブラックフライデーの翌月曜日、オンラインショップでSaleが始まる「サイバーマンデー」(最近では新しい商戦日として認識されつつある)のSale品として「Anchos 5 32Gバイト Tablet」を定価から175ドル引いた204ドル99セントで販売しているのが目立つ程度だ。
しかし、Android搭載タブレットデバイスは意外なところで主役になっていた。それが“玩具専門店”のToys R usで、ブラックフライデーのドアバスターにSylvaniaの7型ディスプレイ搭載のAndroidタブレットデバイスを139ドル99セントで販売した。Toys R usでは、ほかにもドアバスターとして7型ディスプレイ搭載Netbookを79ドル99セントで販売している。こちらのメーカー名やOS、詳細スペックは不明だが、WiFi、3基のUSBを備え、重さは1キロ弱。Toys R usで扱っていると、“子供のおもちゃ”の感覚だ。
老舗のデパート「SEARS」でもドアバスターとしてVelocity Microの7型ディスプレイ搭載タブレットデバイスを50ドル引きの249ドル99セントで販売した。同社では、ほかにも、5型ディスプレイ搭載のLibre eReaderを89ドル99セントで扱っている。
電子書籍リーダーでは、Bed Bath & BeyondでもPandigital Novel、Literati Wireless Readerの取り扱いを開始した。Bed Bath & Beyondはその名の示す通り、ベッドカバーやシーツなどの寝具、バス用品、およびキッチン用品の専門店だ。以前から簡単なゲーム機やデジタルフォトフレームなどを取り扱っているが、電子書籍リーダーはそれらと同じセクションに置かれている。
年末商戦におけるショップの扱いを見ると、電子書籍リーダーやタブレットデバイスといった安価なデジタルガジェットは、テクノロジーに敏感なガジェットフリークではなく、普段デジタルガジェット専門店に足を運ばないような層(例えば主婦層)にターゲットを移していることがうかがえる。
デジタルガジェットを扱うメディアで盛り上がるAndroidタブレットデバイスだが、流通業界では「日常雑貨」的に扱われ、かえってそのことで、多くのユーザーに普及していくようにも思えてくる。
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