出版業界ニュースフラッシュ 2012年3月第1週

出版業界で起こったニュースにならない出来事をまとめてお届けする週刊連載。出版デジタル機構や日本出版インフラセンターの動きが注目されています。

» 2012年03月05日 11時39分 公開
[新文化通信社]
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 出版業界で起こったニュースにならない出来事をまとめてお届け。2012年の出版業界を占うヒントが隠されているかも?

出版デジタル機構、4月2日に新会社設立

 電子書籍市場のインフラ整備事業を行う出版デジタル機構は、4月2日に株式会社「出版デジタル機構」を設立する。

 3月9日には、発起人委員会と設立取締役会を行い、新会社の役員人事を検討する。

 同機構は、日本出版インフラセンターが行う経産省受託事業「コンテンツ緊急電子化事業」で作成する電子書籍の一部販売業務を担当する。同事業では、約6万タイトルをメドに書籍の電子化を行う。

JPO、緊急電子化事業の仮申請受付けを開始

 コンテンツ緊急電子化事業を行う日本出版インフラセンター(JPO)は3月1日、出版社を対象に電子書籍化の仮申請の受付けを開始した。JPOの公式ホームページ内に受付フォームを開設、受付期間は16日までとなる。

 同申請では、電子化する書籍を「新書」「文庫」「文芸書」「学芸書、学術書、専門書」「実用書」「絵本・児童書」「コミック」「その他」の8ジャンルから、ジャンルを選択する。電子化する書籍のコンテンツ数やジャンル分布など全体のスケールを掴み、進行スケジュールのめどをつける。

 同事業は経産省の受託事業として来年度末まで実施し、約6万タイトルを電子化する予定。

JPO「経済産業省『コンテンツ緊急電子化事業』特設ページ」

【日販分類別売り上げ調査】1月期、前年同月比4.3%減に

 前年同月比は、4.3%減で21カ月連続のマイナスとなった。規模・立地別でも軒並み前年割れ。特に、「商店街」(同6.2%減)と「駅前・駅ビル」(同6.0%減)の落ち込みが前月と同じく大きかった。

 「雑誌」の売り上げは、同4.4%減。「コミック」は、「君に届け15」(集英社)が好調だったことに加え、前年(2011年)は通常1月発売のジャンプコミックスが2010年12月に繰り上がりで発売された“発売日影響”により、前月(同7.8%減)に比べ改善した。しかし、前年は「ONE PIECE」関連本や「進撃の巨人」(講談社)などの売り上げ良好銘柄があり、その反動でマイナスとなった。

 「書籍」の売り上げは、同4.2%減。ジャンル別では、「文芸書」(同14.0%減)が前月(同13.1%減)に続き最大のマイナスに。これは、前年『くじけないで』(飛鳥新社)や『KAGEROU』(ポプラ社)といったミリオンセラーがあり、売り上げをカバーしきれなかったためである。

「オーディオブック・オブ・ザ・イヤー」に『夢をかなえるゾウ』が決定

 オーディオブック配信事業を行うオトバンクは2月28日、第3回オーディオブックアワードを開催した。最も優れたオーディオブックとして、『夢をかなえるゾウ』(飛鳥新社)を「オーディオブック・オブ・ザ・イヤー」に決定した。賞を贈呈された著者の水野敬也氏は、「正直、めちゃめちゃウレシイ!」とコメント。

 そのほか、「ビジネス書部門大賞」に『伝える力』(PHP研究所)、「文芸書部門大賞」に『池袋ウエストゲートパーク』(文藝春秋)、「審査員特別賞」に『人生がときめく片づけの魔法』(サンマーク出版)、「優秀特別賞」に『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(ダイヤモンド社)が、それぞれ受賞した。

アワードを受賞した水野敬也氏(右から2番目)

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