本大好き司書メイドの好感度を上げ、年に一度のデート権を得るべく繰り広げられるメイドたちのラブアタック。今日はレイラからのオススメですよ。
街の片隅に、メイドが営む私設図書館がありました。
そこには書架を守る司書メイドがいます。ほんわりおっとりした司書メイド ミソノに、淡い思いを抱くメイドもいるようです。
彼女の好感度を上げようと、今日もお気に入りの1冊を持って、書架にメイドがやってきます。
「この世でいちばん好きなのは、お料理すること食べること」
絵本『ぐりとぐら』の一節ですね。
この言葉、大好きなんですよー。でも、最近はこの言葉に「旅をすること」を加えてもいいかなぁって思うようになりました。
旅ですか! いいですね。
と、言うことで。今回は、年老いた騎士が長年仕えていたテルシア家からお暇を貰って、老馬ただ1頭をお供に旅をしながら美味しいものを食べ歩く、グルメ・エピック・ファンタジー小説をご紹介します。
ファンタジーの世界のお料理ってすごく美味しそうですものね。
そうなんですよ! 特にこのお話は「第1章 ガンツの娘 コルルロースの臓物の煮込み」という風に各章のタイトルにお料理の名前が載っていて、目次を見るだけでもワクワクしてくるんです。
確かに、これは興味をそそられますね。コルルロースってなにかしら……。のんびり旅をしながら異郷のグルメを味わうって憧れます。
あ、でもこのお話の世界では魔獣とか妖魔とか山賊とかでるので、実は1人旅って結構大変みたいなんですよねぇ。
あら! さすがファンタジー世界。危険もいっぱいなんですね。
まぁ、そこで老騎士が「剣を振ると右肘が痛い、腰が痛い」っていいながらも大立ち回りを演じる冒険活劇的な場面になって面白いんですけどね。
そろそろ縁側でお茶を飲んでもよいご身分なのに、その老騎士さんはなぜ旅に出ようと思ったのでしょうか。
死期が近いので死に場所を求めて旅をはじめたそうですよ。
……意外と重い理由でびっくりしました。
なんて言うか、こういうネガティブな方向に前向きな行動をとる登場人物に、すごく好感がもてるんですよね。
ネガティブに前向き!
「まぁ、ここで死ぬなら死ぬでいいか」とか言いながら命を張って出会ったばかりの人のために戦うおじいちゃん、かっこいいです。
あら、それはかっこいいかも。
そんなおじいちゃんなのですが、旅先で色んな人に出会い、珍しいものを食べながら様々な出来事を体験していくうちに、段々と旅と食への姿勢が変わってくるんです。
「もうすぐ死ぬから死ぬ前にちょっと遠出して美味しいもの食べておこう」から「生きている内は美味しいものを食べよう」となって物語の最後では「生きるために食べて旅をしよう」という風に。
ああ……素敵ですね……。
それからおじいちゃんが騎士として剣をささげたテルシア家の貴婦人アイドラ様への淡い恋模様も見所です。美味しいものを食べる度に「アイドラ様への手紙にこの料理のことも書こう」って嬉しそうに言うおじいちゃんのかわいいことかわいいこと。
旅先から憧れの人に手紙をつづるってロマンティックですね。
ただ残念ながら、手紙を送る前にある事件に巻き込まれてしまうのですが……。とはいえ旅を始めてから最低でも3カ月は過ぎているはずなのに、結局手紙を書けなかったおじいちゃんの奥手っぽいところが好きです。
老騎士さんが巻き込まれた事件というのも気になります。
この事件を中心とした第1部は老騎士の一人旅なのですが、第2部に入ると個性的で魅力的な旅の仲間が加わって更に楽しい旅になりますので、是非美味しいものを食べながら、この本の世界を一緒に旅して欲しいです。
本への愛情、オススメの仕方が上手だとミソノの好感度アップ! それぞれミソノの心を占めている割合は……?
エリス:24% レイラ:49% サヤ:53%
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