日本の貴重なデジタル化資料を公開している国立国会図書館デジタルコレクション(デジコレ)。本連載では、デジコレで見ることができるデジタル化資料の中からコレは! というものを探し出し、紹介していきます。
10月29日のニュース見ました?
え、何のこと?
Amazonが、国会国立図書館のパブリックドメイン古書をKindle化するっていうアレですよ。
ああ、1冊100円で配信しますっていうやつね。それがどうしたの?
どうしたのって、お、お宝を先に見つけられてしまうかもしれないじゃないですか! しかも年内に1000冊以上配信するとか言ってるし!
でも、いまのところラインアップを見る限りはメジャーどころばかりじゃない? だったらこっちはもっとマニアックな路線を走ればいいだけよ。
それは、まあ、そうですが……。便利になることは良いことだとは思いますが、デジコレで探すほうが個人的に、こう、「いま自分は、日本の宝を発掘しているんだ!」みたいな気分になって楽しいです。
たしかに多少ページ送りでもたつくことがあったり、作品によっては文字がつぶれていることなどもありますが、それも味なんじゃないかと思っています。
使い分けが大事になってくるんじゃないかしら。教材としては使いやすいかもね、Amazon版も。
でも、データを作って最初に読めるようにしてくれたのは国立国会図書館なので、まずはそちらに敬意を払いたいと思います。ほんと、ありがとうございます。
では、長くなりましたが今日のネタを紹介していきましょう。
はい、ドンッ!
象……よね? やけに丸いけど。
これは江戸時代の絵師・伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)の作品で、屏風に描かれた象の絵ですね。ちなみに、この本は美術記者として活躍した金井紫雲によってまとめられたもので、1936年に刊行されています。
若冲は、1716年に京都の問屋の長男として生まれました。父の死によって、23歳で4代目となった若冲ですが商売に興味はなく、もっぱら絵を描いていたそうです。本格的に描き始めたのは、40歳になり隠居してからで、写実と空想を組み合わせた独特の画風で人気を博しました。
こうした、鳥や魚、草花などの動植物を描いた若冲の作品群を「動植綵絵(どうしょくさいえ)」といいます。現在そのほとんどは宮内庁が保存しているみたいです。
そしてもう一人、若冲と同じ1716年生まれの俳人を紹介します。
春の海 終日のたりのたり哉
あ、与謝蕪村!
さすがです。与謝蕪村は俳人として有名ですが、絵画も得意で俳画の創始者としても知られています。俳画は俳句とセットに描かれるものですが、俳句を題材にして描く場合や、逆に俳画を題材に句を読むこともあるそうですね。ちなみに、こういった俳画のようなものを「賛」といって、自分の作品(俳句)に自分で賛(俳画)を書くことを自画自賛といいます。
へぇ、それは知らなかったわ。
それでは、蕪村の絵も見ていきましょう。
なぜ今回、若冲と蕪村を取り上げたのかというと、2015年の3月〜5月に東京のサントリー美術館で、7月〜8月に滋賀のMIHO MUSEUMで2人の生誕300周年を記念した展覧会が開かれるという情報をキャッチしたからです。200点近くの作品が展示されるそうですよ。
そんな理由だったのね。
いいじゃないですか、自画自賛の語源も知ることができたわけですし。これもひとえに、私の普段からのデジコレ探索と調査の努力があってのことだということを忘れないでいただき――
最後は自画自賛するっていうオチかーい! 何か昭和の漫画みたいなノリを感じたわ。じゃあ、第19回をお楽しみにー。
(出典=国立国会図書館)
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