CaseStudy:SCMの可視化で競争力を強化〜韓国製鉄のポスコ(2/2 ページ)

» 2004年08月05日 13時06分 公開
[怒賀新也,ITmedia]
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 i2のアプリケーションについてキム氏は、「アイテムごとに計画を最適化できる点、計画精度が高い点を評価している」と話す。なおここで、アイテムとは、番号付きエンティティとしてデータベース上でモデリングできる実存のオブジェクトのことを指している。

 ただし、企業システムの大規模な移行がそう簡単には実現しないことは想像に難くない。キム氏も「業務プロセスを改革し、標準化してからシステムを導入したが、苦労も大きかった」と振り返る。マスターデータの整備にも手間取ったという。典型的なケースだが、「複数の工場間で、同じ製品や部品に違う名前が付いている」といった状況も多々あった。

 マスターデータを統一する作業自体は、ITとは関係のない作業だ。マスターデータの数が多ければ多いほど、複数拠点間での違いの洗い出しなどに手間がかかる。こうした作業が複雑さを極め、アプリケーションを導入する前の段階でプロジェクトが泥沼化するケースも多々あると言われる。i2では、マスターデータの問題に対応するために、Master Data Managementというソフトウェアを開発している。

SRMでサプライヤーとの協業を強化

 3月には、POSCOがi2のサプライヤー・リレーションシップ・マネジメント(SRM)を導入したことが明らかにされた。これにより、調達や購買に関連する詳細データの集約化や、使用資材の照合、サプライヤーのデータやパフォーマンスの評価など、調達および購買の合理化を図ることで、最適なサプライヤーに調達を再配分している。

 業界内において、原材料やサービスへの支出は、売り上げの64%に上るという。そのため、購買を適正化してコスト管理を行うことが重要になる。同社は、SRMを利用することによって、サプライヤーや地域、時間、資材などを単位として支出を取りまとめ、33の基準でサプライヤーを評価できる。こうした評価基準に基づき、サプライヤーを自動的に選別し、豊富なデータをベースに、調達の意思決定を迅速化できるという。

 さらに、同社は、同システムを利用して、サプライヤーに対する改善点を更新している。品質やレスポンスの速さ、納期の正確性といった項目からなるスコアカードをサプライヤーに送付し、パフォーマンスの改善を促している。

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