日本IBMは「Lotus Day 2004」でNotes/Dominoの次期メジャーリリース、7.0の概要を披露するとともに、「J2EEやEclipseに対応することでさらにNotesの世界を拡げたい」とし、その開発継続を約束した。
日本アイ・ビー・エムは10月18日、都内で「Lotus Day 2004」を開催し、Lotus Notes/Dominoの次期メジャーリリース、7.0の概要を紹介、500人を超えるユーザーらに将来にわたる開発投資の継続を約束した。
IBMはこの5月、クライアント環境を一新する革新的な技術として「IBM Workplace Client Technology」と、これをベースとした「Lotus Workplace」製品群を発表している。コラボレーションのための製品として既に独自テクノロジーで完成のする域にあるLotus Notes/Dominoと、J2EEをはじめとするオープンテクノロジーベースのLotus Workplaceシリーズが並立することから、ユーザーのあいだに少なからず混乱が生じていた。
日本IBMでロータス事業部長を務める澤田千尋氏は、「ライバルらがNotes/Dominoの将来に対する不安をあおっているが、既存ユーザーが世界で1億1300万を超える極めて重要な製品をIBMが捨てることなど考えられない」とオープニングの基調講演で強調する。
今に始まったことではないが、Microsoft Exchange Serverの追撃は厳しさを増しているし、サイボウズのOffice6はその敷居の低さで次第に評価を高めている。1999年、Notes/Domino 5.0でインターネット標準に完全対応を果たして以来、IBM Lotusが本来の革新性を効果的に訴求できずにいたのも事実だろう。2002年には日本オラクルも「もはやNotesはレガシー」と、Oracle Collaboration Suiteを引っさげてグループウェア市場に殴り込んできた。
実際のところ、大塚商会のテクニカルプロモーション部でグループウェアやポータル製品を担当する丸山義夫氏は、この1年間でNotes/Dominoから他製品への乗り換えが増えてきていると話す。相次ぐ情報漏えい事件やそれに対する法整備もあり、メッセージングやグループウェアを見直す機運は高まっている。堅牢なセキュリティを誇るNotes/Dominoに有利に働くと思うのだが、多くの企業が再検討を進めるきっかけとなってしまっている。
丸山氏はこの日、Lotus Dayで「他製品への乗り換え事例」という、極めて逆説的なテーマでセッションを行い、サイボウズのガルーンやMicrosoft Exchangeへの移行を支援した実際の経験から彼は、「スペック比較表の無意味さ」を強調する。
「スペックよりも用途で比較すべき」と丸山氏。すべての社員を対象とし、少しずつ業務をやりやすくしたい企業にはサイボウズ製品も薦めるが、上位製品のガルーンでも1サーバ当たり1000ユーザー程度と拡張性に難があり、管理面からは薦められないと話す。ガルーンの電子メールが使えず、Oracle Collaboration Suiteを組み合わせた乗り換え事例もあったという。
また、大塚商会が扱ったExchangeへの乗り換え事例の多くは、親会社がExchangeへ移行するのがきっかけとなっているとも。単に電子メールだけの移行ならいいが、Notesの業務データベースを移行するとなると、SharePoint Portal ServerやSQL Server、Active Directory Serverなど、さまざまなサーバ製品の購入も必要になる。技術をばらばらに提供するのではなく、セキュリティをはじめ、すべての機能を1つに収めたNotes/Dominoのパッケージングの良さがかえって際立つ事例だ。マイクロソフトが喧伝する移行ツールも「中途半端」で工数が読めないため、結局はいちから開発し直すケースがほとんどだと明かす。
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