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» 2004年12月06日 19時43分 公開

ブロードバンドのリファレンスモデルを日本から――富士通とCiscoが提携

富士通と米Cisco Systemsが、通信事業者向けのハイエンドルータ/スイッチ事業に関して提携を結んだことを発表した。

[高橋睦美,ITmedia]

 富士通と米Cisco Systemsは12月6日、通信事業者向けのハイエンドルータ/スイッチ事業に関して提携を結んだ。

 両社は2005年春をめどに、Ciscoのフラグシップルータ「Carrier Routing System(CRS-1)」で採用されている「Cisco IOS-XR」をベースにした新型ルータを共同開発し、「Fujitsu-Cisco」ブランドで販売する計画だ。また製品品質の向上やサポートといった面でも協力を行う。もともと富士通は、シスコ製ネットワーク機器の販売という形で協力関係にあったが、今回の提携ではそれを開発/品質向上の面にも拡大させる。

 ただし、今回の提携はあくまで、ハイエンドからミッドレンジのルータ/スイッチに関してのもの。それ以外の分野、たとえばIP-PBXやモバイル、ネットワークサーバといった事業については「よきライバル」(富士通の取締役専務、伊東千秋氏)関係を保つという。

回復に向かう市場を視野に

 1990年代後半には過去に例のない成長を見せた通信業界だが、ネットワークバブルの崩壊に伴い、通信事業者(キャリア)も、またそのキャリアに機器を提供するネットワーク機器ベンダーも反動をもろに受け、業界では不況が続いた。だが2004年に入ってようやく復調の兆しが見え始め、新たなネットワークインフラに向けた投資が始まろうとしている。

 国内でも、たとえばNTTは11月に発表した中期経営戦略の中で、固定電話回線を光に置き換えるとともに、交換機に代わってIP化を進めることを明らかにした。一連の変更に伴う投資は、2010年までに5兆円に達する見込みという。また加入電話網のみならず携帯電話についても、基地局を結ぶコアネットワークのIP化が進んでいる。NTTドコモでは2007年をめどに、基幹インフラのオールIP化を実現する計画だ(関連記事)

 富士通とCiscoの提携は、こういった市場動向を踏まえたものだ。はじめからキャリアをターゲットにしたというCiscoの超高速ルータに、電電公社時代からの歴史を持つ富士通のノウハウ、インテグレーション力を組み合わせ、世界でももっとも品質に厳しく、さまざまな要件をぶつけてくる「日本の顧客の要望にスピーディに応えられるようになる」(シスコシステムズ社長の黒澤保樹氏)。具体的には、これまで以上のアベイラビリティやマルチキャスト、IPv6といった要素が考えられるという。

 こうして打ち立てるモデルを、グローバルに展開することも視野に入れている。

 米Cisco Systemsの上級副社長兼ルーティングテクノロジーグループ ジェネラルマネージャ、マイク・ボルピ氏は、衛星回線経由(会場の都合上、IPネットワーク経由ではなかった)のコメントの中で、「ネットワーク業界ではこれまで、米国発のテクノロジやアプリケーション、ビジネスモデルが世界に広まるというパターンが踏襲されてきた。しかしブロードバンドの普及によって、いまや日本が最先端を行っている。ブロードバンド環境を支える高速ネットワークテクノロジやアプリケーションを日本で確立し、それが世界に広まっていくだろう」と述べた。ブロードバンドのリファレンスモデルを日本に求めるというわけだ。

 もう1つ、富士通にとっては、ネットワーク事業の体力回復という意味合いも強い。伊東氏によれば同社のネットワーク事業の売り上げは約4000億円で、ルータ/スイッチ事業はその10%を占めるという。しかしながら「この規模では、開発投資などを含めると単独での黒字は困難」(同氏)。Ciscoとの提携により販路の拡大や効率化を進め、3年後には収益を出したいという。

 新たに興りつつあるIPネットワーク市場をにらんでは、日立製作所とNECの合弁会社、アラクサラネットワークスが10月1日に設立されたほか、ジュニパーネットワークスがテラビットクラスのプラットフォームを投入するなどして攻勢を強めている。富士通-Ciscoの提携によって、競争はさらに加熱することになりそうだ。

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