「いちげんさんお断り」にしないLinuxシステム構築を推進する日本HPInterview(2/2 ページ)

» 2004年12月11日 22時54分 公開
[西尾泰三,ITmedia]
前のページへ 1|2       

ITmedia 標準化の名の下に範囲を狭めるようにも思えますが。

服部 おっしゃるとおり、こうした動きは「標準化」という言葉で都合良く使われることもあるので、そこは非常に注意していますし、「そうではない」と声を大にして言いたいところです。LRAは、標準化の名の下に範囲を狭めることを意味しているのではなく、選択肢を広げるものなのです。

 一番簡単なのは、ハード、OS、ミドルウェアをそれぞれ1種類のみに限定してしまうことですが、それは顧客に無理強いしているのと同じですし、そもそもニーズもないでしょう。LRAでは、横方向にも多様な選択肢を用意することで「決めうち」ではないソリューションを提供します。

ITmedia 従来のパートナービジネスとどう違うのか分からないのですが、具体的に日本HPは何を提供するのですか。

服部 正確で詳細な情報の提供ですね。HPが持つ有益な情報を整理して、Webやセミナー、ワークショップなどを通じて確実に提供することで、それをパートナーにも活用してもらいたいと考えています。言い換えれば、パートナーからの情報と、わたしたちが持っている情報を統合し、精度の高い情報をお互いから発信していこうという話です。顧客から見た場合のソリューションの選び方を変えるものではありません。

 下のレイヤーに関しては、カーネルや整合性を取るのが比較的難しいドライバ部分の整合性を保証するという目新しい部分はありますが、これまで行ってきたことと大きく変わるわけではありません。より重要なのはその上の部分で、Linuxの適用範囲を拡大していくには上のレイヤーに対する安心も提供しなければなりません。

赤井 従来は、「ここまでは日本HPがやりましたので、あとは情報を活用してパートナーが自由にやってください」といった感じでしたが、もう少し密接に一体化してやっていきましょうという話です。グローバルでは、ミッションクリティカルなデータセンター領域に問題なく適用できるレファレンスを意識していますが、日本HPではそれに加え、より簡単に、よりコモディティにリーチする情報も出していきたいと考えています。

LRA LRAのソリューションスタック(クリックで拡大します)

ITmedia 上図が具体的なLRAのソリューションスタックですが、これを見て、正直、「これだけ?」と思ってしまいました。決めうちになっている印象もあるのですが。例えばDBなら、MySQLではなく、PostgreSQLのほうが引き合いが強いと思います。このスタックに名前があるものは、どういった基準で選んでいるのですか?

服部 もちろんこの図はローンチ時のものですので、今後拡充が図られることになるでしょう。ここで挙げているディストリビューターやISV製品は、HPがグローバルで結んでいるアライアンスやパートナーのベンダーです。JBOSS、MySQLに関しては、グローバルで見た場合に、それぞれBEA、Oracleに次ぐシェアを持っているオープンソースソフトウェアです。

 選択の基準としては、グローバルで見た場合、ナンバーワンのシェアを持っているか、ティアワンパートナーとなりますが、国や地域によって少しづつ異なります。例えば、中国であれば、ディストリビューションの部分にRed Flagも名を連ねています。

赤井 確かに、「なぜこのソフトがないのか」と思われるかもしれませんが、共存するものを複数並べても混乱するだけですので、製品のポリシーが共存しないことも考慮して決定されています。DBであれば、フルデータベースのOracle、速度のMySQLといった具合です。

 検証のためのリソースとしては米国にも欧州にも検証センターがありますので不足しているわけではありませんが、日本にクローズしたものに関しては、別途考えたいと思います。

ITmedia 日本ならではの味付けはあるのですか。

赤井 米HPでは直販志向が強いのですが、日本ではSIerパートナーを意識したアレンジが行われているところでしょうか。

 先ほどお話したように、日本HPではこの1年で約600サーバのLinuxシステムをミッションクリティカルな分野で構築してきましたが、これはグローバルに見てもかなり多い数字です。こうした実績を持つこともあり、日本からの要望は比較的聞いてもらっていますね。例えば、図のバックアップソフトウェアの部分は日本からの提案です。スタック図のうち、中間の緑の層は「3種の神器」であると考えており、ほとんどの案件で必要とされるものです。実は当初、LRAのスタックにはこの部分が存在しませんでした。現実を考えると、ここが抜けていたのではソリューションスタックとならないということで、米国に訴えました。ちなみに、Sendmailなどの追加もリクエストしています。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ