デルが日本にも保守サービスの状況を一元監視する管制センターを開設した。浜田宏社長は、「サービスおよびサポートの強化に取り組む決意の表れ」と話した。
デルは2月8日、本社のある神奈川県川崎市のビル内にサーバおよびストレージ製品の保守サービスを管制する「エンタープライズコマンドセンター」(ECC)を開設したことを明らかにした。専任のエンジニアが、オンサイト保守を依頼されてから作業完了までの一連の流れを同センターから一元的に監視するもの。当初は8時間体制でスタートするものの、5月からは24時間体制を整える。ECC開設は、米国本社(テキサス州ラウンドロック)、アイルランド、中国に次ぐ4拠点目という。
浜田宏社長は、「今回のECC開設は日本でもサービスおよびサポートの強化に取り組むという決意の表れ。保守のサービス品質を改善し、顧客満足度向上につなげたい」と話す。
これまでにもテクニカルサポートによる24時間保守のエンタープライズサポートパッケージは提供されてきたが、「電話による受付/障害の切り分け」「技術者と部品を手配」「技術者による保守作業実施」といった各フェーズは、それぞれの部署が管理してきた。ECCは、こうした保守サービスのプロセスに対しても同社お得意の「標準化」を徹底し、品質を改善すると同時にコスト削減を図る狙いがある。
「属人化しやすい保守サービスのプロセスを標準化することで、システム停止時間を最小限に抑えることができる」と、保守サービスを契約する顧客らのメリットを話すのはエンタープライズ事業本部長の長谷川マイケル氏。
同社のエンタープライズサポートパッケージは、標準のブロンズ、平日4時間以内のオンサイト保守を提供するシルバー、24時間365日4時間以内のオンサイト保守を提供するゴールドがあり、ECCによる監視が行われるのはシルバーとゴールド。既存サービスの価値を高めるとともに「将来のサービス展開の基盤にしたい」と長谷川氏は話す。
報道陣に公開されたECCは、テキサス州ラウンドロックの本社拠点とほぼ同等のものとなっている。顧客からの保守サービス依頼ごとに専任のエンジニアを決め、障害の状況や、保守作業に遅滞はないか、など一元的に監視できる。位置情報を把握するツールも活用することで、天候不良(積雪)や事故などで技術者や部品の到着が遅れそうな場合は、ほかの技術者を臨機応変に手配することもできるという。
ただ、エンタープライズ顧客を担当する外部の保守サービス会社にはしっかりとしたトレーニングを受けた認定技術者を置くことが求められており、社数は「一桁」に絞り込まれている。「A社が到着しそうにないからB社に依頼するといったようなことにはならない」と話すのは、同センターの所長を務める真砂良明氏。むしろ、サポート技術者や部品の調整にECCが出動することは少ないだろうとみる。
「障害解決までの時間短縮に向けた保守プロセスの改善に大半の時間が費やされることになる」と真砂氏。
昨年2月、ラウンドロックの本社を訪ねた際、北米のサービス事業を担当するゲーリー・コットショット副社長兼GMは、「ハードウェアプラットフォームと同じ原則だ」と話した。標準化を進め、ボリュームによるスケールメリットと高い生産性によるコスト削減によってプライスリーダーとなり、ライバルたちより低い価格でも利幅をきっちりと確保する。勝利の方程式はサービスも同じだ。
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