ミラクル × ネットアップ──実証済みのタッグが大規模基幹システムに挑むトップ対談(4/6 ページ)

» 2005年03月07日 09時54分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 そうなると、経済原理からすれば、OSに関しても価格に対して敏感になってきます。当然、第一に検討するのはLinuxになります。顧客らが、ミドルウェアであるOracle、OSのLinux、そしてコモディティー化されたIAサーバという実証された安価なソリューションを選択したとき、データを格納するストレージはもはやFibre Channel接続による高価なSANではなくなります。IPによるNAS(Network Attached Storage)になるでしょう。

 先ほど、佐藤さんから話があったISPにしても、RISC SMPマシンがリース切れを迎え、IAサーバとOracle 10gでリプレースを考えているところは多いと聞いています。しかし、IAサーバとなると、さまざまな製品を組み合わせる必要が出てきます。そのとき必ず問われるのが、各レイヤーごとに顧客がベンダーとやり取りしなくても済むベンダー間の連携です。

 過去にも1社による垂直型のアーキテクチャーから水平型のオープンな世界に進化した歴史がありますが、組み合わせは無限になってしまい、再び垂直型に戻りつつあります。しかし、それはもはや1社が上から下まで占める垂直型ではありません。水平的な協業でありながら、顧客からは統合されて見えるためには、あるベンダーが各製品の相互連携を保証することになります。

 どのようにすれば、オラクル、ミラクル、そしてネットアップという3社が、顧客から1つに見え、解析も含めた迅速な対応ができるか、これが大きなポイントになるでしょう。

アジアのLinux標準、Asianux

ITmedia とはいえ、Linuxディストリビューションはほかにもあります。

佐藤 ミラクルはアジアでサーバ向けLinuxの標準を確立したいと考えています。Linuxというのはご存じのとおりオープンソースです。アジア地域のさまざまなニーズを汲み取ったLinuxがあってしかるべきです。特にアジア圏ではダブルバイトの問題があります。また、e-Japan構想のように、日本、韓国、中国の各政府がITによる変革を進める中、さまざまな地域性ある要件が寄せられ、それらを取り込んでいくことでAsianuxはきちんと根づき始めています。

 例えば、言語サポートの問題です。RedHatやSuSEはUnicodeしかサポートしていませんが、Asianuxは、UNIXからの移行に欠かせないシフトJISや、官公庁および地方自治体で必要な外字をきちんとサポートしています。

 また、Asianuxであれば、日韓中にカーネルの開発者がいる機動性に優れたディストリビューターがあります。ミラクルが最近評価を受け始めたのも、国内にきちんとしたサポート拠点があり、カーネル開発者もいるため、障害発生時の対応が迅速だということです。

 Linuxがミッションクリティカルな業務へと用途が拡大すればするほど、ミラクルへの評価も高まってくるのではと考えています。

「アジアのLinux標準確立」に奔走する佐藤氏。日本オラクルではPCプラットフォーム事業や教育事業を立ち上げた

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