ミラクル × ネットアップ──実証済みのタッグが大規模基幹システムに挑むトップ対談(6/6 ページ)

» 2005年03月07日 09時54分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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ITmedia NetAppストレージは、OSが差別化の要素となっているのですね。

鈴木 ハードウェアそのものは特別なものではありません。PCIのスロットが多めにあり、I/Oバス幅が広いPCサーバだといっていいでしょう。創業者は、1990年代にNetWareサーバやNFSサーバで一世を風靡したAuspexでファームウェアを開発していた技術者たちです。彼らは「ビッグアイアン(大型サーバ)の時代は終わる。OSも必要最小限の機能だけに書き直すべきだ」とAuspexを飛び出し、NetAppを設立したのです。初めは自らハードウェアを設計していましたが、それも外部委託(現在はNECから調達)に切り替えています。OSこそがわれわれのコアコンピタンスなのです。

Linuxも64ビットの世界へ

ITmedia 2月末、いよいよインテルEM64TやAMD64に対応した「MIRACLE LINUX V3.0」(Asianux Inside for x86-64)の出荷が始まりました。この意義について教えてください。

佐藤 メモリの拡張はデータベースの性能向上に大きく貢献します。これは社内のベンチマークテストですが、4Gバイトのデータベースの場合、EM64Tは32ビットと比較して40%性能が向上しました。Oracleのライセンスはプロセッサ単位なので、1基のCPUでこれだけ性能が改善すれば、ROIの観点からも非常に有利となります。

 このベンチマークテストでは、Oracleのシステムグローバルエリアを4Gバイト確保し、データベースをキャッシュさせています。Oracleのパフォーマンスをチューニングする際のポイントは、いかにキャッシュのヒット率を高めるかです。OSが64ビットに対応し、仮想的なメモリ空間が拡大したことで大規模なデータベースもメモリ上に載せることが可能となりました。これでヒット率が劇的に高まります。

 データベースのパフォーマンスチューニングというのは、ヒット率を高めたり、メモリとストレージのI/Oをどう改善するか、RAIDの導入してデータの配置をどうするか、といったことなのですが、64ビット化はそれらを一気に解決してくれます。

 商用UNIXはほぼ64ビットでしたが、これでLinuxもその世界に入っていけます。64ビットの世界では、キーとなるのがデータベースとファイルシステムです。どちらも大規模な、テラバイト級のデータを扱うわけで、NetAppのようなストレージとの組み合わせを事前にきちんと検証することが重要になってきます。ネットワークアプライアンスとの関係は引き続き強化していきたいと思っています。

鈴木 われわれ両社は北京にも共同センターがあり、東京にもソースレベルの開発拠点があります。それを強みにしたタッグで規模の大きな基幹系システムに挑戦していきたいですね。ご存じのように日本市場ではメインフレームを中心としたハイエンドなシステムの抜本的な更改期が来ています。それらがオープンに移行する際のスタンダードな環境としてわれわれが認知されたいと願っています。



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