64ビットは時期尚早? 顧客のニーズを理解し需要に備えるインテルInterview(2/2 ページ)

» 2005年04月08日 14時43分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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ITmedia しかし、富士通が最近発表したPRIMEQUESTサーバには、彼らが開発したチップセットが使われています。

タルウォーカー 富士通、日立製作所、NECという日本のコンピュータメーカーには、メインフレームで培った技術やノウハウ、そして納入実績があります。ハイエンドのサーバ分野でCentrinoと全く同じアプローチを採用することはありません。彼らは、Intelのプロセッサを使いながらも自らの技術で差別化を図っています。

 プラットフォームには、技術以外にも「エンドユーザーのニーズを理解する」「業界で協力して全体的なアプローチをとる」といった側面があります。どのレベルまで実施するかは、企業のデスクトップやサーバといったセグメントによって変わってきます。

ニーズを形にする*Ts

ITmedia プラットフォームの機能を拡張するさまざまな技術がIntelから発表されています。

タルウォーカー エンドユーザーのニーズを理解すればするほど、それを実現する多様な技術が必要になってきます。ITマネジャーは、高価なメインフレーム資源だけでなく、ローコストなIAサーバも仮想化して使用効率を高め、ITインフラの機動性を高めたいと考えるようになっています。また、サーバやクライアントの管理コストも抑制しなければなりません。われわれは、Intel Virtualization TechnologyやIntel Active Management Technologyのような新しい一連の技術「*Ts」(スターティーズ)を提供していきます。

ITmedia 今後、どのような技術が登場するのでしょうか?

タルウォーカー 新しい技術も幾つか登場しますが、それ以上に重要なのは仮想化や管理といった既に提供している技術の強化・拡張です。仮想化はCPUからI/Oへ拡大していきますし、管理機能も今は基本的なものですが、これも将来に向けて拡張していきます。Intel I/O Acceleration Technologyもロードマップを発表しています。

ITmedia 今年後半にはデュアルコア化されたプロセッサが登場します。マルチコアへの需要は顕在化しているのでしょうか?

タルウォーカー われわれはムーアの法則を信奉し、着実に実現してきました。しかし、このままトランジスタの集積度を高め、性能を高めていくと、消費電力や発熱の問題を引き起こしてしまいます。マルチコア化は周波数を抑えながら性能を高めていくために必要な戦略です。

 企業のデータセンターでは、マルチスレッド化されたアプリケーションが多く、マルチコアをどのように利用していけばいいのか理解されています。デスクトップにおいても、例えば、セキュリティチェッカーが、ほかのアプリケーションの性能に影響を与えないなど、分かりやすいメリットがあります。また、Intel Virtualization Technologyと組み合わせ、1台のクライアントをIT部門が管理するパーティションとそうでないパーティションに分けることによって、エンドユーザーにとってはより柔軟な使い方ができるようになるでしょう。

データセンターの将来像

ITmedia マルチコアと仮想化技術を組み合わせるとデータセンターはどのように変わるのでしょうか?

タルウォーカー 大きな筐体に32個、あるいは64個といったプロセッサを詰め込んだ大型SMPサーバも、仮想化技術によってデマンドに応じた動的なパーティショニングが可能となるため、サーバ統合がより容易になります。一方、グリッドの標準化が進めば、分散しているITリソースがプール化でき、仮想化によってやはり利用効率の高いデータセンターが実現できるでしょう。

 業界では、何年も前から「メインフレームは滅亡する」と予想してきましたが、依然として重要な役割を担っています。いずれ機能的には同じことができるようになるでしょうが、デプロイメントが違い、今のところコスト構造も異なっています。メインフレームや大型のSMPサーバの方がセキュアで安心できるという考え方もあります。サーバ台数が少ない方が管理コストを低く抑えられるという理由から大型サーバを選択するユーザーもいます。しかしその一方で、ウォール街には1000台のサーバを1人で管理する先進ユーザーも現れています。

 それは宗教のようにいろんな考え方がありますが、仮想化が進めば、いずれにせよITリソースのより効率的な利用が可能になるでしょう。

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