国内コミュニティーの在り方を問う決断がXOOPS日本公式サイトで行われた。日本人が開発当初から牽引してきたXOOPSは、主導権もある存在として、そして優れた国内有志の開発者に支えられてきた。その決断とは?
みなさんこんにちは。4月には2冊のXOOPS関連書籍(「XOOPSによるポータルサイト構築」「Customizing XOOPS」)が新たに発売され、これでXOOPS関連書籍は8種類になりました。台湾で初めてXOOPS関連書籍が発売された当時「日本ではまだ本は出ないのか」と長いこと期待されたことを考えると隔世の感があります。
さて、4月にはXOOPS開発体制に大きな動きがありました。公式発表としてまとめ上げるために記事公開が遅れてしまいました。その分、今回のXOOPSコミュニティ通信は、いっそう内容が盛りだくさんです。
これまで全世界を通してひとつのチームで開発を行ってきたXOOPSですが、今後は日本独自の開発チームで開発を行うことが決まりました。5月号は、この情報を中心として解説していきたいと思います。
まず、XOOPS開発のこれまでの流れを概説します。
今でこそ「XOOPS」という名前はずいぶんと広まってきましたが、この名前が世の中に登場したのは2002年の初頭でした。
PHP-Nukeからのフォークという形で始まり、onokazu氏(日本)を中心とした、南京、台湾、アルゼンチン、ノルウェー各国の5人の開発メンバーで「XOOPS」の開発がスタートしました。現在のバージョン命名ルールで言うと、「XOOPSバージョン1」系列です。
当初より英語サイトを中心に、各国語サイトとコミュニティーが次々と立ち上がり、各国有志により各国言語でのXOOPSサポートが行われました。英語サイト(「本家」サイトと称する)および日本サイト(「日本公式」サイトと称する)の代表をonokazu氏が務めていました。
2003年4月ごろ、XOOPSバージョン2(XOOPS 2)の正式公開と時期を同じくして、英語サイトに集まる人たちで「よりXOOPSを発展させるための体制作り」が検討され始めました。さまざまな担当ごとにチームが作られたのです。コアチーム、テーマデザインチーム、品質コントロールチーム、文書チームなどです。
しかし、コントロールの役割を担う部分が不十分なまま組織が大きくなったことが、疑問視の1つとなりました。
意志決定の遅れが目立つようになり、そのほとんどが日本から報告されていたという実情もあります。比較的大きなものでは、セキュリティー修正情報が取り込まれるにも日を要するような状態が続いていました。また、「日本語(2バイト文字)処理に強い」が特長のひとつであったXOOPSで、2バイト文字を考慮しない変更が加えられることも頻発するなど、日本のXOOPSユーザに不利益な状況も生まれてきたのです。
開発体制変更以前、XOOPSは特にセキュリティー上の問題が発覚した後の対応の早さには目を見張るものがあったのです。このため、大きな後退といえます。
英語圏主導で進められた「大組織化」は、ことXOOPSの開発においては結果として失敗だったと判断せざるを得ないでしょう。必要であるならチーフ開発者であるonokazu氏の独断で新バージョンをリリースすればよいと思われるかもしれませんが、「開発体制の整備」の名の元、同氏にはバージョン番号を付けてリリースする権限がなくなっている状態でした。
このような経緯により、XOOPSが元から持っていた「迅速な開発」を取り戻すことが、改めてチーフ開発者であるonokazu氏を中心とした開発チームを再編成する目的となりました。
「日本版XOOPS」です。
以下、要点を一問一答形式でまとめてみました。
Q:開発メンバーは?
A:onokazu氏を中心に、minahito、nobunobu、Ryujiの各氏。すべて日本人。
Q:目指すところは日本ローカルのXOOPSか?
A:日本人開発者を中心としているが、日本語専用のXOOPSではない。開発するのは「日本発の」国際対応XOOPSである。
Q:2バイト文字対応は?
A:もちろん2バイト文字(特に日本語)環境で問題なく動作することが最優先の条件。
Q:「日本語版XOOPS」と考えて良いか?
A:日本語処理のみをターゲットにしているわけではないため、「日本語版XOOPS」ではなく「日本版XOOPS」である。
Q:英語版との互換性は?
A:バージョン2.x.xのうちは、モジュール、テーマセットの互換性を保っていく予定。それ以降のバージョンは未定だが、なるべく保っていきたいと考えている。
Q:現時点で英語版との違いは?
A:トークンシステムの実装方法に一部違いがある。ただし、日本版XOOPSには互換性コードを加えているので、モジュールから使う場合には、英語版XOOPS用に開発されたモジュールを日本版でも使用可能である。逆に、日本版XOOPS専用に作られたモジュールは日本版でのみ動作保証の可能性が高い。
Q:今後の「日本版XOOPS」のロードマップは?
A:当面、バージョン2.0.xの開発継続を行う。その後の詳細については現在検討中だが、ミッション別に3系統開発バージョンの平行開発を行うプランもある。
Q:結局XOOPSユーザにとって何のメリットがあるのか?
A:さまざまなメリットがある。セキュリティパッチ提供の迅速化やフィードバックなど意志決定の高速化、また、日本人中心というチーム環境を生かすことで、より日本人になじみやすいユーザーインタフェース改善なども着手できればと考えている。
この移行がXOOPS日本公式サイトで発表された内容は、記事最後の関連リンクにまとめました。
5月22日には、ひさびさに九州で「XOOPS九州ユーザー会in久留米」のXOOPS会合が開催されます。場所は久留米。事例紹介やモジュールの紹介が予定されているようです(XOOPS日本公式サイト参照先)。
一方、5月21日には、仙台で「第3回東北XOOPS講習会」が開催されます。第2回に引き続き、テーマデザインについての講習が予定されています(XOOPS日本公式サイト参照先)。
5月21日には、東京の大久保で「XOOPSオープンカンファレンス〜第4回XOOPSイベント」が開催されます。今回は、講演形式/会議形式が2部屋で同時進行するボリュームです(XOOPS日本公式サイト参照先)。
特定のサーバで運用中のXOOPSサイトを、規模などの理由から別のサーバに移動したい。長くサイトを運用していると、このような要求が出てくるものです。
以下の手順で行うことができます。
1. 現在運用中のXOOPS関連ファイルをディレクトリごとすべて新サーバにコピー
2. 現在運用中のサイトのMySQLデータを新サーバのMySQLデータベースにインポート
3. mainfile.phpファイル内で必要な項目を変更。主に、URLやファイルパス、あるいはMySQLへの接続情報などを確認します。
ここまではよく知られている手順ですが、もうひとつ忘れてはならない作業があります。
4. ディレクトリのパーミション変更。cache、template_c、uploadsの3つのフォルダを書込可能にする。
またモジュールによってはmodulesディレクトリ下にファイルを保存するものもあるので、該当するディレクトリ、およびファイルのパーミションを元のサイトと同じにしておく必要があるものもあります(XOOPS日本公式サイト参照先)。
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