IT部門のリストラの進み方ITは経営戦略の実現に貢献しているのか(3/7 ページ)

» 2005年05月19日 00時00分 公開
[大野隆司(ヘッドストロングジャパン),ITmedia]

EAの活用

 EAの定義はいくつか存在するが、「企業価値の改善を実現するためのオペレーション、および、そこで必要となってくるITについて、全社最適の観点から描いたもの」と言える。EAで必要となる成果物は(これもいくつか定義はあるのだが)、大きく分ければ、既存の(As Isの)モデル、将来の(To Beの)モデル、そして既存から将来への移行の進め方、人や組織などで構成される実現のためのCapability、といったところだろう。

 モデルについては、必要となるオペレーションの姿を定義・描写し――ここで企業価値の改善に必要となるオペレーションを設計することになる――、その実現に必要とされるITについて、データ・アーキテクチャ、アプリケーション・アーキテクチャ、テクノロジ・アーキテクチャの層で定義していくこととなる。

 先の形式知化の目的を実現するためには、最低限EAのAS ISのモデルを作成すればいいわけだが、これとてかなりの労力を要する作業だ。同様の取り組みを検討しつつも、実行の意思決定に躊躇していた企業も多い。だが、オフショアと並び、IT投資抑制の手段であるシステムの再利用においても、IT資産を形式知化して管理することが必要条件であり、それを考慮すると、今後EA導入による形式知化の取り組みへの注力は加速していくことになる。

企業のIT部門の役割はどう変化するのか?

 IT部門のリストラ(人員削減)が進んでいくわけだが、ここで誤解してはいけないのは、本体に残る「IT企画を担当する人」の仕事は残存するのかというと、必ずしもそうではないということだ。一方で、情報システム子会社に在籍している担当社の仕事がすべてオフショアに行くかというと、それもそうではない。

 では、企業の中でIT部門はどのような役割を果たしていくことが必要となるのだろうか。

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