IT部門のリストラの進み方ITは経営戦略の実現に貢献しているのか(5/7 ページ)

» 2005年05月19日 00時00分 公開
[大野隆司(ヘッドストロングジャパン),ITmedia]

SEの業務知識は評価されなくなる?

 システムの設計・開発についてはオフショアを活用して進めることになるが、半面、オペレーションの検討・設計については、現状に比べてはるかに多くの時間を投入して練り上げていくことが必要となる。企業はこの領域についての投資の必要性をいままで以上に強く認識することになる。そしてこの領域への不足なく投資を行うことが、結果的にはIT投資額を抑制していくことへの効果が高いことを実感することとなる。

 これに関係して、システム部門員のスキル面についての誤解について触れておきたい。今後は必ずしも、企業内の業務が分かるSEである必要はなくなってくる。オペレーションの構築を、実際のオペレーションを担当しているメンバーが行うようになれば、情報システム部員として理解する知識では太刀打ちできないのは明らか。また、必要とされる知識の多くが、該当オペレーションを処理するためのアプリケーションに関する知識であることも、ここに絡んでくる。

 「業務がわかるSEになることが大事」といった提言も多く見受けられるし、ないよりはあったほうが好ましいが、それをオペレーション側から求められることは非常に少なくなっていく。

 オペレーション構築を、実際のオペレーションを担当しているメンバーが行うようになれば、IT部門のSEが理解しているオペレーションの知識では見劣りしてしまう。IT部門のSEが理解している業務とは、たいていの場合業務オペレーションを処理するアプリケーションシステムについての知識である場合がほとんどだからだ。

 どんな知識でも無いよりはあったほうが好ましい。ただし、この知識をもってして評価を高めていくと言ったことはまず不可能となることは理解しておくべきだろう。

PMO(プログラム・マネジメント・オフィス)の必要性

 ITが経営の要素として重要になってきたこと、そして投資額も大きくなってきたことから考えても、システム調達の失敗は、遅れ、予算超過、機能未充足を、専門用語や業界の常識といった言葉で曖昧にすることが許されなくなってくる。サービスインのタイミングの遅れによる構築コストの膨張、オペレーションの実施機会の喪失などについては、責任者は厳しく罰せられるようになる。

 オペレーション構築、その中でのシステム調達などの失敗を極小化するべく、プロジェクト・マネジメントを強化することに注意が払わられることとなる。これはプロジェクト・マネジメントのスキルのトレーニングなどによる普及という活動もさることながら、プロジェクト・マネジメントの専門部隊としてのPMOを企業内に設置し、それぞれのプロジェクトの支援していくというかたちが一般化していくだろう。

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