JavaOneで語られるJavaの今と未来

Sunは来週のJavaOneでJavaの現状と今後を語るほか、J2SEやJ2EEの次期版の詳細を明かし、SOA、Webサービスにも重点を置くと見られる。(IDG)

» 2005年06月24日 14時09分 公開
[IDG Japan]
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 第10回JavaOneに向けて準備を進める米Sun Microsystemsは、Javaの10周年を祝い、その現状と今後に関する談話を発表する予定だ。JavaOneカンファレンスは6月27日から30日までサンフランシスコのモスコーニセンターで開催される。

 「JavaOneではもっと多くの製品がフリー・オープンソース化されるだろう」と1997年に設立された、20万人強のJava開発者が参加するコミュニティーJavalobbyのリック・ロス会長は語る。同氏は、27日に同カンファレンスで非営利コンソーシアムEclipse FoundationからオープンソースIDE(統合開発環境)のEclipse 3.1がリリースされることを挙げた。

 Sunは既に自社OSをOpenSolarisとしてオープンソース化している(6月15日の記事参照)

 「JavaOneは世界最大のデベロッパーショウだ」と話すのは、SunのJava Webサービス・ツールマーケティング事業部長ジョー・ケラー氏。「スマートカード、携帯機器からサーバに至る各種のネットワーキング技術において、多くの点で、Javaにより10年前のビジョンが実現している」。Sunの推定では、Javaのムーブメントは世界中の450万人の開発者の努力が原動力となっており、Java対応デバイスは地球上に約25億台あると同氏は付け加えた。

 SunのJavaOneでのフォーカスの1つは、Java 2 Platform, Standard Edition(J2SE)の次期版「Mustang」だとケラー氏は言う。同ソフトの新機能は、Java言語、開発ツール、コアライブラリ、サービサビリティ、セキュリティ、ネットワーキング、JME(Java Management Extensions)、XML、エンタープライズクライアントに関するものになりそうだという。Mustangは来年半ばにリリース予定だ。さらにその後継で、2007年後半に登場すると見られる「Dolphin」について、SunはJavaOneの基調講演で詳細を明らかにする予定だ。

 「JavaOneの最もクールな発表の一部は、GUIに関連したものになるだろう」とJavalobbyのロス氏は予測する。「特にクールなのは、SunがMustangとともに披露する新しいデスクトップJava機能だろう。わたしはその一部を見たことがあるが、あれはとても素晴らしい」。同氏は、クライアント側開発者が見るべきものが増えている点を指摘する。SunとMicrosoftによるセッションもあり、Mac OS XをIntelベースPCに移植するApple Computerも参加する。

 Sunは、コードネームで「Glassfish」と呼ばれる次期版Java 2 Platform, Enterprise Edition(J2EE)、コードネームのない次期版Java 2 Platform, Micro Edition(J2ME)についても話す予定だと同社のケラー氏は語る。

 同社はまた、自身およびパートナーが提供するサービス指向アーキテクチャ(SOA)とWebサービスにもかなりの重点を置くという。

 Sunはこれまで同様、Javaが業績にどの程度貢献しているかを明かすことを控えているが、ケラー氏によると、同社はJavaがIT市場全体で1000億ドルを超えるビジネスを駆動していると信じている。「JavaはSunにとって重要な戦略的技術の1つ。このビジネスは毎年の収益の確立を可能にした。これは全体の一部だ」

 ケラー氏は、Javaはデスクトップソフトへの浸透を進めていると主張し、Sunの統計では7億台以上のPCがJavaに対応し、同社はデスクトップに1億のJavaランタイムを直接配布したと指摘する。

 Javaは各方面からデスクトップでは失敗していると思われている。「そのことは以前ほど問題ではなくなっている。確かに問題だったが、われわれは昨年Microsoftとの問題を解決できたときに、それを覆した」とケラー氏。法的問題で和解した両社は、1年あまりJavaと.NETの相互運用に取り組んできた。JavaOneにMicrosoft幹部が出席し、Microsoftブースが設置されることにもそれが現れている(5月23日の記事参照)。ただし、Microsoftは依然としてJavaをWindowsの一部として出荷することを拒んでいる。

 Sunの関係者は予想来場者数についてはコメントを避けているが、昨年の来場者は1万4000〜1万5000人だった。1996年に開かれた第1回のJavaOneには6000人が訪れた。

 このほか興味深い分野としては、SunによるNetBeans 4.1 IDEとその将来版のGUIのデモだとJavalobbyのロス氏。JavaOne開幕前の26日に、SunはNetBeansなどの同社開発ツールに焦点を当てた1日がかりのセッションを行う。これにはジョナサン・シュワルツ社長兼COO(最高執行責任者)、デベロッパープラットフォーム部門CTO(最高技術責任者)でJava作者のジェームズ・ゴスリング氏、Web技術ディレクターでXML開発者の1人でもあるティム・ブレイ氏などの有名人が参加する。

 基調講演を行うのはSunの会長兼CEO(最高経営責任者)スコット・マクニーリー氏にBEA Systems、Borland Software、NokiaのCTO。だがロス氏は、本当におもしろいのは「Stretch Your Mind」と題されたゴスリング氏の基調講演だと考えている。「ここでデスクトップの魔法が起きるだろう」

 JavaOneサイトによると、基調講演に続いて、ゴスリング氏は、Javaに新しいコミュニティー・開発モデルを取り入れるべきかを議論するパネルディスカッションの司会を務める。パネリストとして、CollabNetのブライアン・ベーレンドルフCTO、O'Reilly Mediaの創設者兼社長ティム・オライリー氏、著作権問題に詳しいことで有名なスタンフォード大学のラリー・レッシグ教授などが参加する。

 「Javaを特定企業の製品としてだけではなく、業界の視点から見ることが重要だ。これはJavaが成熟する過程の一部だ」(ロス氏)

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