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» 2005年06月28日 04時00分 公開

企業向けバーチャルリアリティ・システムの今――IVR展

先週開催されたIVR展で、クリスティ・デジタル・システムズと日本SGIのブースでは、企業向けのバーチャルリアリティ・システムの最先端を垣間見ることができた。

[西尾泰三,ITmedia]

 先週東京ビッグサイトで開催された「産業用バーチャルリアリティ展」(IVR展)では、各社が最新の仮想現実技術を出展していた(関連記事参照)。その中で、クリスティ・デジタル・システムズのブースでは、2004年6月に協業を発表した日本SGIが共同出展していることもあり、可視化やインタフェースにフォーカスを当てた内容となっていた。

ブース写真 多くの人でにぎわうクリスティ・デジタル・システムズのブース

PCのディスプレイを超えた展開を

 出展されていた内容としては、日本SGIの「VizImpress」「ST」といった技術のほか、最近発表した「Silicon Graphics Prism Deskside」が中心で、それらを投影するDLPプロジェクターやスクリーンがクリスティ・デジタル・システムズの製品であった。特に同社のリアプロジェクター「Nova」の80インチモデルにはそれがタッチセンサーを搭載していることもあり、多くの人が足を止めて見入っていた。

Nova 80インチのリアプロジェクター「Nova」。タッチセンサーを備え、100インチモデルも用意されるという。

 「VizImpress」「ST」は発表されてから細かい部分でのチューニングやさまざまなソリューションとの組み合わせが施されている。例えばSTは現在の感情の判別という視点からさらに一歩進め、その人の性格を判断するような心理系技術の導入が示唆されていた。また、VizImpressも今回、3次元地図デジタルデータと組み合わせた展示を行っており、これまでの地図情報の扱い方を変えるような提案を行っていた。

 こうした地図情報の新しい使い方というのは、すでにサービスとして存在している。その有名な例がGoogle Mapsである。操作がタッチパネルかマウスかの違いだけで基本的に両サービスのコンセプトは同じだ。それもそのはず、Googleが同サービスを展開するにあたって2004年に買収したKeyholeという企業は、米SGIをスピンアウトした技術者を中心に創立されたものなのだ。その意味では、技術的なルーツはSGIだといってもよいだろう。

 先を越された形になった日本SGIだが、同社のサービスはタッチパネル付きディスプレイとの連携によってより広範囲な利用シーンを想定している。また、より広範囲な業種に対してのソリューションも考えているのも特徴の1つだ。

 広範囲な業種に対してのソリューションを展開するという意味では、地図情報ではなく高精細な3次元地図を利用する「GEO-Element」も多方面から期待されている。例えばテレビ局などはいい例だ。事故の再現CGなどではこうしたソリューションを活用することで、地形データの作成の手間を省けるだけでなく、より現実性のある再現CGなどを作ることができる。

 研究開発の現場でも大きな引き合いがあるという。GEO-Elementについては、都市開発などを研究する大学や研究機関からの引き合いが非常に多い。大学の研究室もアウトプットが求められる時代となってきたが、そうした研究はなかなか一般人には理解されにくい。そのため、分かりやすく可視化を行う必要があるのだが、そうした用途において同ソリューションが渇望されている。

 また、地震研究の分野でも大きな貢献となりそうだ。地震波の伝播シミュレーションとこうした3D地図を組み合わせることで、実際の被害範囲を可視化するのに非常に役立つ。

ビジュアルソリューションとVRの融合

 映画産業や防衛分野に対して多彩なビジュアルソリューションを提供していることでも知られるクリスティ・デジタル・システムズは、今回IVR展が開催された東京ビッグサイトのすぐそばに社を構えている。そのビルの1階にはショールームが常設されているのだが、こちらには190インチのスクリーンや、同社が「新世代VRディスプレイ」として位置づける「HoloStage」といった大型の製品が展示されている。190インチのスクリーンには「GEO-Element」によるフライスルーのデモが行われていた。日本SGIの担当者によれば、これは現在のGEO-Elementをさらに拡張したもので、地形を俯瞰して見たりするなど3Dの恩恵を享受できるものになるという。

GEO-Element GEO-Elementによるフライスルーのデモ。地図情報と3Dが無理なく融合している

 HoloStageはVR用DLPプロジェクター「Mirage S+」シリーズを5台利用して3面(前、下、右または左)のスクリーンに投影するもので、一種の没入型システムといえる。加えて、センサーで観察者の位置と向きの情報を取得し、そこを視点として物体を描画し、スクリーンに投影するヘッド・トラッキング技術を組み合わせることで、表示される物体は位置が固定されて見ることを可能にしていた。

HoloStage1 暗闇に浮かぶ球体。カメラを引くと……
HoloStage2 HoloStageに投影された可視化データだった。左の人物がセンサーを備えた液晶シャッター・メガネを装着しており、その視点に沿った投影が行われる。なお、メガネを装着すると立体視となり、非常にインパクトのあるものとなった

 クリスティ・デジタル・システムズ日本支社、日本SGI、エルザジャパンの3社は企業向けバーチャルリアリティ・システムで連携していく姿勢を見せている。3社はそれぞれ、プロジェクターや大型スクリーン、「Silicon Graphics Prism」ファミリを中心とする可視化システム、デザインレビューモデルソフトウェアといった製品・ソリューションを提供することで、トータルソリューションとして提案していく狙いとみられる。クリスティ・デジタル・システムズのショールームには政府関連や軍事情報セクターの視察も多いという。可視化のソリューションはこれからさらに盛況になっていくと思われる。

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