金融機関との協調による経営再建こんな時期だからこそ知っておきたい企業のファイナンス(2/2 ページ)

» 2006年01月25日 14時00分 公開
[第一法規]
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3.借入金概念の変革

(1)中小・零細企業の代表者からの借入金は、原則として、その企業の自己資本に加えることになっていますが、その際に代表者が「その借入金の返済を当面要求しません」という確認は、不要とされました。したがって、代表者などからの借入金は、無条件に負債ではなく自己資本とされることになります。

(2)何年も借り換え、借り換えで、実質的に返済していない借入金、いわゆるコロガシ借入は、銀行取引の長い貴社のような中小企業では、多く見られました。中小・零細企業では、事業基盤となっている固定的な資金が、このようなコロガシ資金によって調達されていました。そこで、金融機関が債務者区分で要注意先(要管理先を含む)とされた中小・零細企業に対する貸し出しを、借入先の経営改善計画の一環として、長期借入金から「資本的劣後ローン」に転換している場合には、債務者区分などの判断において、この「資本的劣後ローン」を「資本」とみなすこともできます。

 ただし、それには、幾つかの設定条件があります。ここで言う「劣後ローン」とは、金融機関が早く優先的に回収するローンを「優先ローン」というのに対して、後でゆっくり回収するローンのことです。

4.事業計画の策定

 「借入金」を「資本」とみなすことができれば、営業キャッシュフローで無理に返済する計画を立てる必要がなくなるため、それだけ、ゆとりのある資金計画を組むことができます。いずれにしても、実現可能性の高い抜本的な経営再建計画を策定しなければなりません。そうなれば、貴社のメインであるA信用金庫による格付けも引き下げられることはありません。今後の経営再建計画の実行の実績によっては、格上げの可能性もあります。A信用金庫との信頼関係の上で、協調して経営再建計画を実行に移してください。

●参考文献
金融検査マニュアル別冊[中小企業融資編](2004年2月公表)

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