いまさら聞けないレガシー・マイグレーションのアプローチ“過去”からの脱却――エンタープライズ・サーバー選択の新常識

 現在、ユーザー企業の間で、高い関心を集めているキーワードとして「レガシー・マイグレーション」が挙げられる。日本ヒューレット・パッカードが提案するレガシー・マイグレーションは、単なるメインフレームからオープンシステムへの移行を指すのではなく、硬直化したITシステムから、ビジネスへの貢献度を高める柔軟なITシステムへの転換を指しているのだ。

» 2006年04月07日 10時00分 公開
[ITmedia]
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 日本ヒューレット・パッカードによるレガシー・マイグレーションの具体的な取り組みに触れる前に、まずは、レガシー・システムの定義を明確にしておく必要があるだろう。

 レガシー・システムと言うと、メインフレームを挙げる場合も多いが、メインフレームもオープンシステムの多くの技術を取り込んでいるので、一義的に決め付けるのは短絡的である。一般的に言われる「メインフレームからオープンシステムへの移行」は、レガシー・マイグレーションの重要なひとつの課題ではあるが、それだけが目的ではない。では、その対象となるレガシー・システムとは何か。

マーケティング統括本部インフラストラクチャソリューション本部 上三垣孝一担当部長

 同社マーケティング統括本部インフラストラクチャソリューション本部・上三垣孝一担当部長は、「レガシーとは、ビジネス変化への対応を阻害するシステム。メインフレームであれ、UNIXシステムやIAサーバであれ、ビジネス環境の変化に対応できない硬直化したシステムであれば、プラットフォームによらず、それはレガシーと定義してよいだろう。」と語る。

 つまり、日本ヒューレット・パッカードにおけるレガシー・マイグレーションとは、どんなシステムであれ、硬直したITシステムから、ビジネスに貢献できる柔軟なITシステムへの乗り換えを指しているのである。

 「ITのあるべき姿は、ビジネスに貢献するシステムであること。ビジネスの変化に対して迅速に対応でき、さらに、維持・運用コストを抑え、新規投資へとコスト配分ができるものだといえる。こうしたシステムへの移行がレガシー・マイグレーションと言えるだろう」(上三垣氏)。

レガシー・システムが乱立する日本のユーザー企業

 日本には、特徴的ともいえるレガシー・システムの環境がある。それは、日本にはメインフレームの利用率が高いという点だ。調査によると、現在、日本の大手企業の約30%でメインフレームが稼働しているという。これは欧米の企業に比べて約2倍の規模に当たる。

 「メインフレームではオープンシステムで実現できるようなコスト・パフォーマンスが享受できない。さらに、2007年問題としても取上げられているように、基幹系システムを支えてきたCOBOLエンジニアやシステムをグランドデザインし、開発・管理してきた管理者、技術者がリタイアし、既存システムの継承をいかに行うかといった問題も表面化している。また、若手のエンジニアは、COBOLの技術を修得するよりも、Javaをはじめとする新たな技術を学びたいと考えている。エンジニアのモラルを高めるという観点から見ても、メインフレーム技術者の育成は限界にきている」(上三垣氏)

 このように、メインフレーム・システムの維持・管理には、多くの課題・障壁が取り巻いている。

 一方、社内の部門・部署のそれぞれのニーズに対して、つき焼き場的にシステム構築をしてきた結果、部分最適化したシステムが乱立してしまい、IT投資予算の内、運用・管理コストに多くの割合・工数を取られるといった企業も数多い。 

 ヒューレット・パッカードでも、2002年に合併した際には、いわゆるレガシー・システムが社内に林立し、既存システムの維持・運用に、ITコストの約72%が割かれていた。裏を返せば、IT基盤やアプリケーションの革新など、新たな分野に対する戦略的IT投資が、わずか28%に留まっていたことになる。これでは、ビジネス変化に柔軟に対応することに支障が生じる。そこで、同社は、「本来あるべき投資構造への移行」のため、システムの大幅な見直しに着手。2007年10月までに、情報システム投資コストの52%を新規の戦略的投資に当てるべく取り組みを行っている段階だ。

 実際、日本の企業の状況を見ると、既存システムの運用・維持にコストを割いている企業が多い。先ごろ、米フォレスター・リサーチが発表した日本のユーザー企業におけるIT予算動向調査によると、日本の企業が新規技術投資に当てる予算の比率はわずか18%に留まっている。つまり、変化に対応できないレガシー環境での運用が中心となってしまっている企業があまりにも多いのである。

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ヒューレット・パッカードが提案する4つの提案

 こうした中、日本ヒューレット・パッカードでは、レガシー・マイグレーションの提案として4つの取り組みを軸にしている。

 1つめは、ITコンソリデーションである。硬直化したシステムは、個別最適化を目的としたシステムの乱立によって引き起こされることが多い。乱立した個別最適型のシステムこそ、レガシー・システムにほかならない。こうしたシステムを水平方向で全体最適型に統合・集約することでシステムの複雑性を解消し、運用管理の効率化を図ろうとするのがITコンソリデーションのアプローチである。

乱立したシステムを水平統合することはアジリティの向上につながる

 同社が提供するインテル® Itanium® 2 プロセッサ搭載HP Integrityサーバは、HP-UX、Windows、Linuxと主要な3つのOSをすべてサポートしており、一台のサーバ上でこれらOSを混在させて利用することができる。さらに、同社が長年培ったデータベースや管理ツールといったミドルウェア製品群によって、統合環境下でのシステム運用を最適化しているのが特徴だ。

 2つめがHP ITSM(IT Service Management)である。ITコンソリデーションにより、乱立したシステム基盤の物理的統合やシンプル化をはたしたとしても、開発、運用管理プロセスに問題があれば、IT環境のアジリティやサービス品質の継続的な向上を阻害しかねない。提供するサービス・レベルを高めて利用者の満足度を向上したり、ビジネス現場からの要求に応じて適切なサービスを速やかに提供するといった体制・プロセス作りが重要となる。このような体制・プロセス作りを進める上で有効なのが、ITILのように世界規模で有効性が実証された標準手法をベースとして、開発・運用管理プロセスの標準化や全体最適化を図ることである。

 ヒューレット・パッカードでは、過去10年以上に渡り、ITIL(Information Technology Infrastructure Library)に基づくサポート/サービス、コンサルティングを実施してきた。国内では約200人に及ぶITIL認定コンサルタントやエンジニアを擁している。これらの豊富な経験とノウハウは「HP ITSM参照モデル」の策定につながっている。HPでは、1998年にこの参照モデルに基づくコンサルティング・サービスを始めたが、経験・ノウハウを蓄積しながら、モデルの改善を継続して行っている。

HP ITSM(IT Service Management)参照モデル

 3つめは、仮想化テクノロジーである。同社では、「要素技術の仮想化」「統合された仮想化」「完全なITユーテリティ化」の3段階に仮想化技術を分け、ユーザー企業の状況に最適化した仮想化技術の提案を行っている。

 HP Integrityサーバには、統合化した仮想化ソリューションであるHP Virtual Server Environment(VSE)が搭載されている。これによりハードウェアリソースを、負荷にあわせて動的に配置することが可能で、柔軟なシステム構築や、コストを最適化したシステム構築といった点で威力を発揮する。

 そして、4つめがメインフレーム移行(MFx)プログラムである。同プログラムでは、メインフレームなどのプロプライエタリなIT環境からオープンシステムへのマイグレーションに関して、検討からコンサルティング、システム移行まで一貫したサービスを行うものだ。HP 全社規模で展開されている、レガシーアプリケーションの刷新を行うための手法 AMS(Application Modernization Services)を今後日本でも提供する予定だ。

 こうしたヒューレット・パッカードの4つの軸からのレガシー・マイグレーションの提案は、日本でもすでに幾つかの事例として実績があがっている。

 国内の半導体メーカーや大手印刷情報技術企業では、HP Integrityサーバを活用して、ビジネスに貢献するシステムへの変革を実現しているのだ。「日本での先行事例に加えて、欧米でも数多くの事例がある。日本のユーザー企業にとっては、こうした海外での数多くの事例も参考になるだろう」と上三垣担当部長は語る。

アダプティブ・エンタープライズが基本戦略に

 ヒューレット・パッカードでは、レガシー・マイグレーションにおいても、アダプティブ・エンタープライズ戦略を基本に据えている。アダプティブ・エンタープライズとは、「ビジネスとITが同期し、変化を活用できる企業や組織」を指す。

「クオリティ(品質の向上)」「コスト(コストの管理)」「リスク(リスクの緩和)」「アジリティ(俊敏性の向上)」という視点でのバランスの取れた舵取りが必要

 アダプティブ・エンタープライズ戦略では、クオリティ(品質の向上)、コスト(コストの管理)、リスク(リスクの緩和)とともに、アジリティ(俊敏性の向上)を重点的な取り組みとして掲げている。

 「これまでの情報システム構築では、クオリティ、コスト、リスクという点にはフォーカスしていても、アジリティという点にはフォーカスしていない場合が多かった。アダプティブ・エンタープライズ戦略では、アジリティの向上を最も重要な取り組みとしてフォーカスしており、これによりビジネス環境の変化に柔軟に対応できるシステムが構築できる」と上三垣担当部長は位置づける。

 レガシー・マイグレーションは、多くのベンダーで使われている言葉であり、その提案も千差万別だ。だが、ヒューレット・パッカードが提案するレガシー・マイグレーションは、自らが検証したものであること、そして、ビジネス環境の変化に迅速に、そして柔軟に対応できることにフォーカスしている点が、最も異なる部分だといえる。そして、アジリティの向上こそ、レガシー・マイグレーションの施策でも追求すべき指針なのだ。

関連資料(PDFダウンロード)

・レガシー・マイグレーション新論(5,524KB)



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制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2006年6月30日