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» 2006年07月12日 10時00分 公開

“過去”からの脱却――エンタープライズ・サーバー選択の新常識:Enterprise SOAで新たな時代の要請に応える

エンタープライズ領域で「ビジネス」を意識した上でSOAを活用するトレンドが生まれつつある中、SAPでは「Enterprise SOA」に基づくソリューションでそうしたニーズに応えている。従来のSOAは何が問題だったのか? そしてそれをSAPはどのように変えたのか? ハードウェアとのコラボレーションによる相乗効果でビジネスの全体最適を実現しようとするSAPの今を追った。

[ITmedia]
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エンタープライズ領域でSOAを活用するEnterprise SOA

 SOA(Service-Oriented Architecture)は、業務の1つの処理単位を1つのサービスとしてとらえ、それを実現するソフトウェアを部品として連繋させ、最終的に1つの大きな業務システムとして成り立たせようという概念だ。単なる機能ごとのソフトウェア部品の組み合わせではなく、サービスという単位でソフトウェアを部品化し、それを組み合わせて柔軟に利用する。個々の業務処理の変化にはサービス単位で対応でき、システム全体を再構築することなく業務を継続、あるいは拡大できることになる。

個別最適なサイロ型システムから、水平統合型のシステムへ

 SAPは2003年に、このSOAをエンタープライズレベルに発展させたソリューションとしてESA(Enterprise Service Architecture)を発表している。ところが、一般的にはこれを提唱した当時からつい最近にいたるまで、SOAはどちらかといえばテクノロジーの問題として取り上げられることが多かった。技術的にどうやってソフトウェア部品を連繋させるのか、接続のための標準的なプロトコルはどうするのか、連繋にXMLを介在させたときの処理速度をいかにして高速化するかなど、もっぱらSOAは新たなITの技術的な問題を議論する際のキーワードの1つとなっていた。エンタープライズ領域でビジネスとしてSOAを活用するという議論には、なかなか発展しなかったのだ。

 しかし、この状況が最近になって変わりつつある。実際のビジネスでSOAをどう活用するかに、にわかに注目が集まり始めたのだ。これは、コンプライアンスや内部統制の重要性、より素早い意思決定を必要とする企業間の競争の激化など、ビジネスを個別に最適化していたのでは実現できない、企業への新たな要請に応える必要が出てきたからであろう。

 この状況に対しSAPは、従来から提唱してきたESAと基本的なコンセプトは同様だが、よりエンタープライズ領域で「ビジネス」を意識した上でのSOAの活用という意味を込めて“Enterprise SOA”という名称を採用することにした。

 SAPジャパンのSAP Labsジャパン エンタープライズSOA推進室のバイスプレジデントであるアクセル・ザーレック氏は、通常のSOAとEnterprise SOAはどこが違うのかについて、次のように説明している。

アクセル氏 SAPジャパンのSAP Labsジャパン エンタープライズSOA推進室のバイスプレジデント、アクセル・ザーレック氏

 「ビジネスプロセスの要件を満たし問題を解決することは、例えば、言語、言葉というものがあったときにそれが意味をなすようにすることと、言い換えられるでしょう。というのは、言語を使って話をするときには、共通の文法が必要です。これがないと互いに理解できない。当然、話をするためには言葉、単語も必要です。ここでいうところの文法がSOAに当たります。そして単語、ボキャブラリが、実際のビジネスにおけるサービスに当たり、SAPではこれをエンタープライズサービスと呼んでいます。文法と言葉という2つが揃って、はじめて言語によるコミュニケーションが意味をなす、つまりはビジネスとして意味をなすものになる。この2つを合わせて提供することが、SAPのEnterprise SOAなのです」

 文法だけあってもコミュニケーションは成立せず、その上に多くの言葉がなければならない。多くのベンダーは文法に当たるSOAの仕組みだけを、あるいは単語に当たる業務アプリケーション部分を個別に提供している。SAPではこの両者を用意することで、Enterprise SOAとして提供できるのだ。2006年5月から出荷を開始した新たなERP製品である「mySAP ERP 2005」では、mySAP Business Suiteですでに提供している500を超えるエンタープライズサービスのうち300種類が利用可能だ。これとEnterprise SOAのプラットフォームであるSAP NetWeaverとを組み合わせれば、あらゆる業務がEnterprise SOAで連繋できるようになるわけだ。

例えるなら、Enterprise SOAとは、文法(SOA)に則ってSAPが提供するボキャブラリ(SAPのEnterprise Services)とユーザー独自のボキャブラリ(Webサービス)を組み合わせて、独自のフレーズ(ビジネスプロセスをサポートするソリューション)を作ることであると言える

既存の投資を生かしてビジネスの全体最適を実現する

 従来のSAPであれば、ビジネスの全体最適が求められる場合、SAPのソリューションをビッグバン型で一気に導入することを提案したであろう。ところが、これを実施するには導入する企業に相当な体力を要求する。さらに、新しく立ち上がったばかりの企業でもない限り、すでに多くの出自の異なる業務システムを抱えているはずだ。これまで費やしたそれらへの投資をすべて捨ててしまえと言うのは簡単だが、実行するのはかなり難しい。

 とはいえ、分断されたシステムでは相互間でのデータ整合性の確保や複数のアプリケーションをまたがるプロセスでの十分なパフォーマンスの発揮などが極めて難しくなる。さらにシステム連繋が不十分で、システム間のやり取りに人手が介在するような場合には、内部統制面でも大きなリスクが潜むことになる。

 企業にとっては、なんとか既存のIT投資を有効活用しつつ、前記の問題を解決してビジネスプロセスを全体最適化する必要がある。そこで活躍するのが、Enterprise SOAというコンセプトということになる。

 「SAPでは、既存のシステムをSOAで連繋させるためのツールも提供しています。これを使えば、SAP NetWeaverに既存システムを容易に統合できるのです。以前であればすべてをSAPでというアプローチでしたが、現在では既存のリソースを最大限に利用する構成が取れるようになりました。SAP NetWeaverには、さらにマスタデータの統合管理ツールもあります。これを使えば、マスターデータの調和、統合、そして集中管理が簡単に実現できます。そのため、顧客は複数システムでのビジネスプロセスの一貫した効率的な運用に頭を悩ませることなく、ビジネスのほかの分野にリソースを投資できます。企業の成功は、こういったイノベーション領域にいかに投資できるかにかかっているのです」

 ビジネスプロセスの全体最適を実現するには、マスターデータの集中管理は重要だ。これを実現することで、さまざまなシステム間でのデータの整合性が確保でき、全社規模でのデータウェアハウスにも繋がり、リアルタイムなBIによるデータ分析環境の構築も容易になる。

ハードウェアとのコラボレーションによる相乗効果

 Enterprise SOAのソリューションは、SAPだけですべてを網羅できるものではない。ソフトウェアの面ではデスクトップ生産性アプリケーションとエンタープライズアプリケーションの統合を実現するMicrosoftとの「Duet」や、Adobe SystemsのFlex技術を活用した「Project Muse」などが、パートナー企業とのコラボレーションとして進められている。日本市場でも、日本版SOX法への対応や製造業向けのソリューションなど独自にパートナー企業との積極的な協業が行われている。この体制は、ハードウェアの面でも同様だ。

 「HPとは、さまざまな面で協業を行っています。インテル® Itanium® 2プロセッサを搭載したHP Integrityサーバなどに代表されるHPのハードウェアと、Enterprise SOAのコラボレーションで、双方が持つ柔軟性が相乗効果でより高いものになります。これにより、さらに柔軟性が高い環境を顧客に提供できるのです。また、インテルとも深い協業関係にあります。例えば、インテルが新しい製品を開発する際には、SAPのアプリケーションの要望が反映されるようになっているのです。NetWeaverにはBIを実現する機能がありますが、現在インテルの技術とHPのサーバ、そしてSAPのソフトウェアという組み合わせで、この部分で効率の良いシステムを提供しようとしています。これは、SAPがおこなっているワールドワイドでのコラボレーションのよい例です」

 扱うデータ量の増加やリアルタイム性の必要など、パフォーマンスに対する要望は留まるところを知らない。ハードウェアの性能を最大限に引き出すために、ハードとソフトの密なるコラボレーションは欠かせない。

マスタデータだけでなくハードウェアの世界でも整理統合が可能

Enterprise SOAが日本市場での要求を解決する

 「SAP R/3を日本市場に展開していた際に、パッケージの機能は豊富かつユニークで評価されていましたが、何らかの追加開発をしたいといったことに対し柔軟性がないと言われていました。ユーザーインタフェースやプロセスのカスタマイズ、機能の追加といったことがやりにくい、この柔軟性が欠けている点が日本市場での弱点だと指摘されていたのです」とザーレック氏は、日本市場がアプリケーションパッケージに対しワールドワイドよりも高い要求をもっていると考えている。

 「柔軟性がない部分をどうやって解決するか、そこで登場したのが3年前に提唱したESA、つまりはEnterprise SOAです。このことは、SAPのアプリケーション自身にとっても、効果のあることでした。ソフトウェアが柔軟性を持つメリットがたくさん出てきたのです。顧客にとっては、すべてを新規に導入する必要がないので、製品への投資コストも下がり、さらに柔軟性により開発コストも下げることができます。アーキテクチャに柔軟性を持たせることで、ビジネスだけでなくシステム同士も効果的にコラボレーションできるようになります」

 日本市場でのカスタマイズに対する高い要求が、Enterprise SOAの柔軟性をもったアーキテクチャが生まれた背景にあったのだ。現状、日本においてもSOAに対する理解が急速に深まっている。そして、ベンダーサイドでも現実的なSOAを提供できるようになってきた。日本市場の要求を取り込んだSAPのEnterprise SOAソリューションが、日本においてさらに拡大することが期待できそうだ。



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