飛躍するLTOテクノロジー、その知られざる秘密(3/3 ページ)

» 2006年07月24日 08時30分 公開
[関根史和,ITmedia]
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テープレイアウト

 テープは7つのエリアを8つのロジカルポイント(LP)で区分けされている。また5つのサーボバンドと、4つのデータバンドに分けられている。サーボバンドは、テープ製造時に事前に書き込まれ、使用中にサーボ情報が消されることはない。

 テープが挿入されると、まずカートリッジメモリのデータが読み込まれる。その後、LP1のエリアがドライブヘッドの前を通過する時から、ヘッドにあるサーボヘッドがテープのサーボバンドに絶えず追随する。これにより、ユーザーデータ(LP4)の位置にヘッドが正確に位置付けされるのだ。

 Format Identification Dataset(FID)は、カートリッジメモリの情報を最初のロード時に記録しいる領域で、万が一カートリッジメモリの読み取りが失敗したときに、使用できるようになっている。

サーボバンド

 各サーボバンドは、上図のように、磁気性の帯で構成されている。18の帯が1サーボフレームとして、5、5、4、4の順番で並んでいる。テープの位置決めにこの順番が役立っているのだ。サーボバンドは、各サーボの帯の位置関係と読み取られたタイミングにより

1.ヘッドの上下位置のコントロール

2.テープスピードの測定

3.テープ位置の把握

という役割を果たしているのだ。

データの読み書き

 ヘッドはサーボバンドに沿って、データを書き込みながらユーザーデータ領域の先端から終端まで移動する。これは“ラップ”という単位で呼ばれている。

 LTO 1の場合、書き込み領域を少しずつ上下にずらしながら、1つのヘッド当たり前進6回と後進6回の計12回を行いながらデータを書き込む仕組みだ(下図参照)。ドライブには、前進用と後進用の各8つのデータヘッド素子があり、前進動作で48データトラック分、後進動作で48データトラック分の計96データトラックを、各データバンドに書き込むことになる。

 LTO 2では、データ容量の増加に対応するため、データトラックを一部オーバーラップして書き込む。こうすることで、1つのデータバンドに記録できるデータトラックを増やしているわけだ。

インタフェース

 LTO製品で使用されているインタフェースは、SCSI Ultra160、SCSI Ultra320、ファイバチャネルなどがある。ドライブの用途により、異なるインタフェースが使用されている。その中で、新たなインタフェースとして、LTOドライブに使用されようとしているのが、Serial Attached SCSI(SAS)だ。

内蔵ドライブに使用されるSASコネクタの一例

 SASインタフェースが必要となってきたのは、(1)これまで使われていたパラレルSCSIの性能が上限に近づいている、(2)ファイバチャネルには高価で複雑というイメージがあり、使い難い、(3)シリアルATA(SATA)はケーブル長の制限やリンクレイヤーのリトライがないなど、テープドライブ用途として制限がある――など現在の市場環境にはこれまでのインタフェースで対応しきれなくなってきている現状があるからだ。

 最近では、SASインタフェースを搭載したサーバが多くなりつつある。SAS対応製品も近々リリース予定だ。次回は、LTO製品のメカ部分や制御技術に焦点を当ててみよう。

関根史和

日本ヒューレット・パッカード株式会社、ストラテジックパートナー営業統括本部、ストレージOEM営業部。2001年日本HP入社後、テープストレージ製品OEMビジネスのエンジニアとして従事。製品採用活動、製品導入作業、障害対応、など、テープストレージ製品の技術的な部分は何でも関わる。テープ装置開発事業部があるイギリスと、日々英語でやり取りしている。


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