SOAの難しい課題を解決するポイント：動き出したSOAのいま（1/5 ページ）

前回は「SOAの可能性」について述べた。しかし、実際に導入検討を行う場合には必ず課題が出てくるもの。そこで、どのような課題あるのか、そして、採るべき方策は何かについて考えてみよう。

[生熊清司，ITmedia]

本記事の関連コンテンツは、オンライン・ムック「動き出したSOAのいま」でご覧になれます。

　生熊清司（ITRアナリスト）

　前回は「SOAの可能性」というテーマで、SOAの有用性について述べた。しかし、実際に導入検討を行う場合に、疑問や課題がないわけではない。またSOA自体の考え方は正しくとも、それを実現するソフトウェアの成熟度や既存システムの状態、さらには導入する企業のビジネスプロセスの複雑性や開発要員のスキルセットなどについて、さまざまな課題が発生することが予想される。

　そこで今回はどのような課題あるのか、そして、採るべき方策は何かについて考えてみる。

SOA導入における疑問

　SOAの概念は「構築したシステムをできるだけ長く使い続けたい」「実装した機能を1つのシステムだけでなく、ほかのシステムでも使用したい」と考える企業に、変化に容易に適応できる企業アーキテクチャーへの移行を促すものである。

　しかし、実際にSOAの導入を具体的に進めようとすると、以下に挙げるようなさまざまな疑問が浮かび上がる。

• 何から始めればよいのか
• サービス化はどうやって行えばよいのか
• 適切なサービスの粒度は
• どのシステムやアプリケーションがSOAに向いているのか
• 現在の標準化仕様で始めて問題がないのか
• 既存のシステムはどのように統合するべきなのか
• 処理パフォーマンスはどうなるのか
• どのようなスキルを持った人員が必要となるのか
• どのような組織やチームが必要になるのか
• 経営層やエンドユーザー部門の理解は得られるのか
• SOA導入によるROIが明確でないのでは

　これらの疑問はテクノロジー的な課題とビジネス的な課題の両方を含んでいる。さらにテクノロジー的な課題には標準化やベンダーの製品開発による成熟を待たなければならないものも含まれている。しかし、課題があるからといって放置するべきではない。課題を解決するには、計画を立て、順序立てたステップを踏む必要がある。