統合メッセージングだけじゃない、エンドユーザーには嬉しいExchange 2007の新機能モバイル Ready!なコミュニケーション活用術(1/4 ページ)

MicrosoftのExchange 2007とOutlook 2007は、エンドユーザーにとって便利な新機能を多数提供している。統合メッセージングに興味がない顧客の気を引くことができるかもしれない。

» 2007年05月16日 07時00分 公開
[Peter Pawlak,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

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 Microsoftの企業向けメールサーバソフトウェアのExchange 2007(Exchange 2003の後継バージョン)とOutlook 2007クライアントソフトウェアには、エンドユーザーに役立つ多数の新機能が盛り込まれている。例えばメール、ボイスメール、FAXを一元的に管理する統合メッセージング(UM)機能のほか、強化されたモバイルアクセス、スパム対策機能、予定表機能が提供されている。追加費用が必要なUMと異なり、その他の新機能は標準で装備され、Exchangeの旧バージョンからのアップグレードに対するエンドユーザーの支持を取り付ける上で有効だろう。

モバイル機能の強化

 前身のOutlook 2003と同様に、Outlook 2007はインターネット経由で接続するリモートユーザーのことを考えた設計になっている。クライアント側でのオフラインメッセージの保管機能とRPC over HTTP(現在は“Outlook Anywhere”)機能により、ExchangeとOutlook間でインターネットを介した安全なアイテムの複製を実現し、仮想プライベートネットワーク(VPN)接続なしでのOutlookからExchangeへの接続と、インターネットに接続できないときのオフライン作業を可能にしている。また、Outlook 2007に新しく追加されたオフラインストアには、SharePoint 2007のドキュメントライブラリからチェックアウトしたファイルのローカルコピーを維持でき、オフライン時にもドキュメントを処理できる。

 ただし、OutlookはユーザーのPCへのインストールが必要な“シッククライアント”アプリケーションであるため、公衆PCや自宅のPCから接続する場合は利用されないことが多い。幸い、Exchangeはモバイルユーザー向けの補完機能として、2つの機能を提供している。1つはWebベースのOutlook Web Access(OWA)クライアントであり、もう1つはServer ActiveSyncと呼ばれる機能で、Windows Mobile搭載の携帯電話やServer ActiveSyncプロトコルをサポートする携帯電話との無線同期を実現するプロトコルだ。

OWA 2007の機能強化

 Exchange 2007において、OWAには幾つか次のような機能強化が施されている。

ユーザーエクスペリエンスの向上

 Exchange 2003のOWAは、Outlook 2003クライアントと同様のWebベースのクライアントインタフェースを誕生させたという点で飛躍的な進化を遂げたが、Exchange 2007ではこの進化をさらに推し進めている。Internet Explorer(IE)6以降を使用する限り、OWAのルック&フィールはOutlook 2007クライアントのそれとほとんど変わりない。また、クライアント側キャッシュが拡張され、特に低速接続利用時におけるOWAのパフォーマンスが向上している。

 Exchange 2007では、メールボックスおよびパブリックフォルダのインデックス作成が既定で有効になり、メッセージだけでなく添付ファイルもインデックス対象となった。このインデックスと刷新された検索インタフェースのおかげで、OWAクライアントからメッセージや連絡先の検索をより高速に簡単に実行できるようになった。また、Exchangeのグローバルアドレス一覧やユーザーの個人用連絡先から宛先を選択するインタフェースも改善されている。そのほか、OWAの予定表機能も大幅に改善された。例えば、Outlook 2007にもこれに相当する新機能があるが、会議の出席者の空き時間の確認を容易にするスケジュールアシスタントと呼ばれる機能が提供されている。

 ただし、OWAとOutlookクライアントは機能的に完全に同等ではなく、Outlookでしか実行できない作業が幾つかある。例えば、OWAでは既にOutlook 2007クライアントによってダウンロードされているRSSコンテンツは参照できるが、RSSコンテンツを新規にダウンロードすることはできない。また、OWAを使用してRSS購読を管理することもできない。

SharePoint LinkAccess

 インターネットベースのOWAユーザーが、会社のファイアウォール内の共有ファイルやSharePointのサイトおよびドキュメントライブラリへのリンクを含むExchangeのアイテムを表示できるようにする新機能である。VPN接続を確立する必要もなく、これらのファイルを格納するサーバをインターネットに公開する必要もない。

WebReadyドキュメント表示

 OWA 2007では、Word、Excel、PowerPoint、Adobe PDFファイルを含め、さまざまなドキュメントをHTML形式に変換してブラウザ内で参照できる。これらのドキュメントを参照する場合に、ダウンロードして関連するアプリケーションやリーダ(これらはクライアント上にインストールされている必要がある)を起動する必要はない。この機能では、インターネットベースのPCへの実際のドキュメントファイルのダウンロードは阻止され、またドキュメントのHTMLビューは、ログオフ時かセッションのタイムアウト時にOWAによって消去されるため、公衆PC上でもセキュリティを確保しながらメールの添付ファイルを参照できる。変換後のドキュメントはオリジナルと完全に同等とは行かないまでも、グラフィックも含めて、驚くほど忠実にオリジナルの内容を再現している。

セキュリティ機能の強化

 OWAでは、パスワードの代わりに、スマートカードまたはRASトークンカードを使用したログオンがサポートされるようになった。ただし、スマートカードを利用する場合、カードリーダーを搭載したPCが必要になる。

 Exchange 2007は、引き続き機能限定版のWebクライアント(Outlook Web Access Light)も提供している。これは、IE 6より古いブラウザやサードパーティのブラウザ(Firefoxなど)で利用できる。OWA Lightでは、OWAのフル機能のうち、右クリックのサポートやスペルチェック、仕事アイテムのサポートをはじめとして多くの機能が欠けているが、低速接続ではOWAよりも高いパフォーマンスが得られる。

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